米Microsoftはなぜ最大6万人に早期退職を打診するのか? 決算資料から読み解く巨額AI投資の“台所事情”:Windowsフロントライン(2/3 ページ)
米Microsoftが、従業員の4人に1人に相当する最大6万人を対象とした早期退職プログラムを発表した。不調のゲームやPC部門だけでなく、売り出し中のAI部門までもが対象に含まれている。直後に発表された2027年度第1四半期決算の「Azure」と「CapEx」の数字から、その背景を読み解く。
OpenAIとの“循環”と出資比率の希薄化
10-Qを読んでいると、もう1つ面白い数字に気付く。OpenAIに関する記述で、次のように説明されている。
「For the three months ended September 30, 2026, we recorded revenue from commercial arrangements with OpenAI, inclusive of revenue-sharing payments, of $10.0 billion. Accounts receivable from OpenAI as of September 30, 2026 and June 30, 2026 was $7.2 billion and $6.0 billion, respectively. We have made total funding commitments of $13.0 billion related to our investment, of which $12.0 billion has been funded as of September 30, 2026.」
順番に解説していこう。
最初の文は、OpenAIとの商業取引(Commercial Arrangements)によって同四半期に計上した売上が、両社の契約に基づくレベニューシェアも含めて100億ドルに上ったというものだ。
この金額は主に先ほどの「Azure」の売上に計上されており、売上全体の約10.8%、Azureの売上に限れば約3分の1に相当する。
そもそもOpenAIがMicrosoftに支払っている資金は、Microsoft自身を含む投資家からの出資金だ。つまり、Microsoftは自らがOpenAIに出資した資金を、Azureクレジットの消費という形で自らに還流させている状態にある。しかも、その規模が売上全体の1割に達しており、一種の“循環経済”のような構図を生み出している。
このOpenAI関連の記述には、まだ注目すべきポイントがある。「Accounts Receivable(売掛金)」の部分だ。
6月末から9月末までの3カ月間で、OpenAIに対する未回収の売掛金は60億ドルから72億ドルへと増加している。帳簿上はAzureの売上として先行計上されているものの、実際にはまだ回収できていないお金だ。
最後は、OpenAIに対する「Funding Commitments(出資枠)」の部分だ。これまでコミットしてきた130億ドルの出資枠のうち、既に120億ドル分を拠出済みだと記されており、ほぼ上限に達したことを意味する。
これにTechCrunchが指摘した数字を加味すると、少し面白い側面が見えてくる。同サイトによれば、OpenAIにおけるMicrosoftの持ち分比率は、約27%から24%へと低下(希薄化)しているという。これには主に2つの理由があると考えられている。
1つは、独占禁止法に抵触しないよう、意図的に出資比率を落としたという見方だ。
OpenAIが非営利団体と営利部門に分かれていた頃、Microsoftの営利部門への出資比率は49%だったが、2025年に営利組織へと再編したタイミングで約27%まで低下していた。この過程でOpenAIが新たな出資元を得たことで、Microsoftとの独占契約が終了し、現在に至っている。
もう1つは、この四半期の間にソフトバンクグループなどによるOpenAIへの追加出資が行われ、Microsoftの出資比率が希薄化したというものだ。
ストーリーとしては、まず後者の新たな出資があり、Microsoftがそれを静観した結果として出資比率が希薄化し、独占禁止法の観点からもメリットがあると判断した、と考えるのが自然だろう。
前述の通り出資枠をほぼ使い切っているにもかかわらず、Microsoftが新たなアクションを起こす様子はうかがえない。出資比率こそ下がったものの、OpenAIの企業価値(Valuation)は当初の想定以上に上がっている。Microsoftとしては、これ以上OpenAIに深入りせず、現状維持の関係を続けていきたいと考えているのではないだろうか。
想定を超えてAI市場が膨らんだことで、売上構造も含めて特定の1社に依存する、いびつな循環構造ができてしまっている。それが現在のAzureビジネスの実態といえる。
Microsoft自身もこれを意識しているフシがあり、OpenAIとの関係の変化も、Anthropicを含む提携先を拡大する動きも、そうした戦略見直しの一環なのかもしれない。
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