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第4回 Excelデータの上手な料理法  - その2-(4/4)

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見積書作成ツールを作る

 さて、残るは見積書だ。いちおう、Excelで作られた見積書はあるんだけど、蓄積されたデータがあるわけでもないから、ファイルメーカーProに取り込むってのも意味があるんだかないんだか。どういうフィールドを作っていくべきかもわからない……。そこで、再び及川先輩に相談。

田中君 「というわけで、見積書をExcelからファイルメーカーProに作り替えたいんですよ。でも、前みたいにドラッグ&ドロップして変換したり、インポートするってのはどうなんですかね? そのExcel版の見積書っていうのが、これなんですけど」


及川先輩 「Excelの見積書は、1つの案件について1個のファイルができているものが多いから、データそのものを取り込むのには意味がないでしょう。レイアウトと項目だけをファイルメーカーPro側で設計していったらどうかしら。たいした手間ではないはずよ」

 「でもね、わざわざ一から作らなくても、見積書の作成には、実はとっておきの近道があるの。あらかじめ見積書として作られていて一般に配布されているテンプレートやソリューションというものがあるのよ。例えば、ファイルメーカーのWebページの中にある今すぐ役立つ『FileMaker Solutions』にアクセスしてみて」

田中君 「おお。こんなものがあるんですか。見積書だけじゃなく、顧客情報もあるじゃないですか! しかも無料でダウンロードできるなんて」

及川先輩 「すぐに使えるだけでなく、データベースの作り方の勉強にもなるのよ。では、早速ダウンロードして開いてみましょう」


 「見比べてみてどう? わりと簡単にできそうでしょ?」

田中君 「そうですね。足りないフィールドは足していけばいいみたいだし、レイアウト作るのも、ファイルメーカーProのほうがぜんぜん楽じゃないですか。表計算ソフトでフォームをレイアウトするってのは、もともと無理があるような気がしてたんですよ。ちょっと複雑なレイアウトにするときは、『セルの結合』を頻繁にやったりとか。罫線ってのもよくわからないなあ。ぼくは間違ってセルの1辺だけ罫線を消しちゃうんですよ」

及川先輩 「表計算で見積書を作ると、1つの案件につき、1個のファイルができてしまう。だから自分がやってきた仕事の全体を見渡すなんてできないし、管理上でもミスが発生してしまう危険があるの。これはFAX送付状を作ったときと、基本的な考え方は同じね。ただ、あのときと違うのは、見積書の中で計算を自動的にやらせているところね。価格の小計や、消費税、合計金額なんかは表計算ソフトのときと同じように自動的に出るでしょ」

田中君 「ほんとだ。表計算ソフトでできていることはそのまま実現できて、そのデータがそこに蓄積されていくんだ。及川先輩、ありがとうございます」


出来上がったのがこのデータベース。Excelでできていたことはすべて網羅し、しかもファイルは1つ。バラバラになることもない。

及川先輩 「これで、商品カタログだけでなく、顧客データと見積書もファイルメーカーProで運用できるようになったわけだけど、実は、それだけではまだ真価を引き出しているとは言えないわ」

田中君 「というと?」

及川先輩 「今回のは個人プレーじゃなくて、プロジェクトとして一丸となってやっている作業でしょう? それなのに、一人だけがデータを管理して、それをみんなでコピーするというのは、どこかで行き詰まると思うの。顧客リストも見積書も、Excelで作られたフォーマットから簡単に取り込めるわけだけど、それだと、その個人で完結したものになってしまう。そういうときのために、ファイルメーカーProにはネットワーク機能があるのよ」


田中君 「でも、それはかなり難題ですね。データをみんなで共有するわけですか。ぼくらの手には負えないかも」

及川先輩 「もちろん、他のデータベースを使ってれば難しいんだけど、ファイルメーカーProに限っては、『簡単』って言い切ってもいいくらいなのよ。この件については、私のほうからプロジェクトリーダーに話をしておくから」

田中君 「よろしくお願いしまーす」

 なるほど。次は自分のことだけではなく、プロジェクト、組織全体のことを考えていく必要があるわけか。そのためにもネットワーク機能というのは勉強しておかねば。それにしても、ファイルメーカーProってのは、自分が成長すればするだけツールとしてどんどん進化するって感じ。

[高岡幸生(ジェネコム), ITmedia ]

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