ファイルメーカーで商用ウェブサイトを構築する
第4回 ZDNetファイルメーカーシステム「BeforeCMS」の構造(3/4)
前のページ
外部アプリケーションの組み込み方
以前にも述べたとおり、ファイルメーカーProは単独で多くのことをできますが、ほかのアプリケーションをコントロールすることにより、さらに多岐にわたった活躍をしてくれます。特定のフィールドのテキストを希望するフォルダに保存したり、ファイルをFTPしたり、SSHを使ってUNIXサーバに処理を行わせたり、メールを送信したり、チャットソフトにメッセージを送信したり。もちろん、処理した結果をブラウザで確認させるなんてのは、お手のものです。では、そのあたりの方法を見ていきましょう。
Macの場合、ファイルメーカーProの外部アプリケーションとなっているのは、次のものです:
- Troi File Plug-in
- Jedit4
- Interarchy
- MacSSH
- Internet Explorer
- Netscape
- GraphicConverter
- UVJ Mailer
- OME
- Finder
最初に挙げた、Troi File Plug-inは、第2回でも述べたように、ファイルメーカーProの外部関数として機能を拡張するもの。Troiのサイトからダウンロードし、ファイルメーカーProの「ファイルメーカー機能拡張」フォルダに入れる。購入したら同社から送られてくる、「Troi Payment Certificate」を、ファイルメーカーProのフォルダに入れておくのを忘れぬよう。
ZDNet Macで使っているTroi File Plug-inスクリプトの一部。古いディレクトリ名であるmacweekをmacwireに置き換える処理を組み込んでおり、作成したHTMLテキストを、Mac OS Webというボリューム内のディレクトリに保存します。実際には、このファイルが既にある場合のエラー用スクリプトも用意しています
次に、Jedit4です。Macユーザーにとっては、既にデフォルトに近いシェアウェアエディタであるこのソフトは、正規表現に対応した検索・置換機能があること、UNIX改行のファイルを読み書きできること、AppleScriptにフル対応していることが、採用の大きな理由です。エディタを決めうちしたことにより、記事を編集するときにも、エディタでHTMLファイルを開くコマンドを用意したりすることができます。
ZDNet MacとZDNet Productsでは、全員がMacをウェブ制作に使っているため、本文HTML化においても、Jedit4の検索・置換を使っています。それ以外のチャンネルでは、HTML変換に、ファイルメーカーProの内部関数を使い、テキスト処理しています。
Jedit4の設定時の留意点は、環境設定で「スタイル無しコピー&ペースト」をオンに指定し、「漢字/改行判定時のアラート」をオフに、設定することです。Jedit4で処理したテキストが、Jedit4のスタイルとともにファイルメーカーProの「本文HTML」フィールドにペーストされてしまうことと、ファイルを開くたびにアラートが出るのを防ぐためです。
Interarchyは、Fetchに次いで古株のMac用FTPクライアントです。これは、特に設定は必要ありません。1ライセンス45ドルですが、10ライセンスだと150ドルとお買得です。Mac OS X対応の時期が早かったので、このソフトを使いましたが、ほかのFTPクライアントでもよいはずです。ユーザー毎にAppleScriptを切り替えて使えば、複数のFTPクライアントを混在させることもできるかと思います。Interarchyは以前、Anarchieという名前だったのですが、バージョンアップのときに名前が変わってしまいました。複数の名前が混在した状態が続いていた時には、ユーザー名によってAppleScriptを変えて、対応させていましたから、そのようなことも可能です。
MacSSHは、実は、いまは使っていません。これはClassicアプリケーションで、Mac OS XではClassicでしか動作しません。この後継をうたったソフトとして、MacTelnetというものがあります。このソフトにはMac OS X対応のバージョンがありますが、実は現在のBeforeCMSでは、このソフトは使っていません。その理由は、SSHに対応していないからというのがひとつ。セキュリティのほどこされていない、Telnetによるアクセスは、嫌われる傾向にあります。Mac OS XでもTelnetによるアクセスはデフォルトでできないようになっています。ZDNetもセキュリティポリシーで、Telnetでのアクセスを行わないようになったので、MacTelnetは使えないのです。そうこうしているうちに、コマンドラインによるアクセスをしなくてもすむようになりました。ブラウザで、UNIXスクリプトを使うことができるようになったのです。つまり、cgiがようやく作られた、ということです。
これまでは、SSH/Telnetを使ってディレクトリの作成、ステージングサーバからウェブサーバへの同期を行っていたのですが、弊社技術局の尽力により、URLで引数を渡すことにより、cgiで処理することが可能になりました。つまり、ブラウザのURLを指定すれば、そのまま処理が可能だということです。これならば、ファイルメーカーProが持っている、「URLを開く」でも扱うことができます。
AppleScriptを使えば、さらに細かく制御することもできます。「URLを開く」では、デフォルト設定されているウェブブラウザでそのURLを開くわけですが、複数のブラウザで確認をしたい場合は、そのプログラムの指定までは行うことができません。AppleScriptならば、"tell application XXXXX"というふうに、プログラムを指定しておくことで、特定のブラウザで表示させることができます。さらに、キャッシュをクリアして表示させるといった細かい技も対応可能です。
画像を直接処理する必要がある場合には、GraphicConverterを使っています。価格が安いのと、変換機能に優れている点、そして、AppleScriptに対応しているからです。ZDNet Productsで、製品画像のサムネールを作る時に使っています。特定の場所にある画像ファイルをリサイズして、別名で保存するといったことが、比較的簡単にできるのです。もちろん、Photoshopでも同様のことはできると思いますが、起動のスピードなどから、これを選択しました。
メールを送信するためのソフトとしては、UVJ MailerとOMEを使っています。スクリプトの手間を考えるとUVJ Mailerがよいのですが、Mac OS X版がないため、Mac OS XではOMEを使っています。これは、とてもユニークなメーラーですが、その送信部分だけを使わせてもらっています。
最後に、Finderです。アプリケーションというにはちょっと変かもしれませんね。ウェブサイトの制作作業といっても、ローカルのファイルで作業することが多いわけで、自分が扱っているファイルにはすぐアクセスしたいですよね。OSといかにシームレスに行き来できるか、というのは、ソリューションの選択における大きなポイントとなるのではないでしょうか? 自分が作業しているフォルダを開くボタンを用意しているので、そのボタンを押して、その日のフォルダを開き、そこに画像ファイルを突っ込むというようや作業も効率良く行えるわけです。
では、ここがWindowsではどうなるかというと、Internet Explorerが、Finderに相当するExplorerと相互乗り入れしているので、URLでローカルディレクトリを指定するだけで、そのフォルダを表示させることが可能です。
[松尾公也, ITmedia
]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
前のページ
| 3/4 | 次のページ