IT仕事塾

ファイルメーカーPro ユーザーの現場を探る
第1回 横河キューアンドエー「ユーザーサポートシステムでの活用」(2/4)

前のページ

社長が導入を決定:最初からファイルメーカーProで構築していた

 横河キューアンドエーは、クライアントの企業数が多く、委託を受けたクライアントの管理の多くにファイルメーカーProベースのシステムを使っています。林氏によれば、さまざまな形態のクライアントがいて、それぞれの顧客データベースは違うそうです。データベースを立ち上げる時には属性も個々のクライアントで違い、それはシステム設計上の大きな負担になっていました。ファイルメーカーProを採用したことで、その負担は非常に小さなものになっているようです。

 社長である須田騎一朗氏がファイルメーカーProの導入を決めた、というのは非常にユニークです。「弊社社長はMacintoshが大好きで、Macのデータベースと言えば、事実上、ファイルメーカーProだったわけです。インタフェースの作り込みは、普通のMacユーザーであれば、だれでもできます。とっつきやすいということで、はじめようとしていたカスタマーのコールセンターに導入しようと決めたのだと思います」と林氏は説明します。須田社長は、幅広くいろいろなデータベースを検証した上で決定したとのことで、単に使いやすさということだけではなく、総合的な見地からの決定であったとコメントしてくれました。

 入社したときには既にファイルメーカーProベースのシステムが稼働していたという、現在、同社でシステム開発を担当している師岡氏は次のように話しています。「すでにファイルメーカーがデータベースとして存在していて、われわれSEという立場のものが入って、より効果的にソリューションとして作っていこうということになりました」

「ファイルメーカーProですと、データベースそのものの設計がとても簡単にできるので、クライアントごとに特性が違うとか、そういったことを案件ベースに仕様をまとめて、違うデータベースとしてどんどん立ち上げていくということが比較的容易にできます。サポートを依頼してくるお客さまも、データベースが安く立ち上がるということで、費用の面でメリットを感じていただいています。データベースをファイルメーカーProを使って構築していくことにより、コストを安くでき、途中のカスタマイズもけっこう簡単にできますので、ランニングコストを抑えることができ、サポート側のアウトソーシングとしては、かなり画期的なところだったかと思います」(師岡氏)

 同社がクライアントに対して提供しているデータベースソリューションは、ファイルメーカーProベースのものだけではなく、クライアントがこれを使ってくれといわれれば、それにも対応し、ウェブアプリケーションを使ったソリューションも用意されています。クライアントの要求にもっともよく応えられるものを、その中から選択していくわけです。しかし、ファイルメーカーProを使ったソリューションは、すでにベースとなるものが用意されており、それを一部変更するだけでよいため、かなり短期間に対応できるというメリットがあるそうです。

 林氏は、同社に加わった時には、「ファイルメーカーでやっていることに驚いた」そうです。それまでは、この種のシステムは大規模なお金のかかったデータベースという認識があったそうです。実は、横河キューアンドエーは、横河マルチメディアとキューアンドエーという2社が合併してできた企業で、林氏は横河マルチメディアの出身。その横河マルチメディアでは、オンサイトサポートをやっていたのですが、同社では顧客データベースやCTIをどうしようかと検討していたときに、えらく高かったり、汎用性がなかったりということで、けっきょく作り込みのAccessでデータベースを開発していたそうです。

 横河マルチメディアがキューアンドエーといっしょになったときには、「ほんとに事業の中に入れるというのはすごいよなあ、と。仲間うちでデータベースを作るとか、ちっちゃなショップの管理だったらすごくいいソフトだと思ったんですけども、コールセンターで使えるというのには、私も驚いたくらい」と正直な感想を話してくれました。

[松尾公也, ITmedia ]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/4 | 次のページ

ピックアップ

news139.jpg 週末アップルPickUp!:絶好調のApp Store、ユーザーに34億円返金へ
アップル関連の話題を何となくまとめる週末アップルPickUp!。今週は未成年者によるアプリ内課金問題を取りあげます。

news020.jpg 24時間動作+4バンドLTE+11ac+SIMフリー(予定):もしかして“無双”? ツウ好みの高性能LTEルータ「AtermMR03LN」をねっとりチェック(パフォーマンス編)
“ツウ好み”の機能や特長を多く備えるLTEルータ「AtermMR03LN」がモバイラーの中で人気だ。前編の機能チェックに続き、後編では実運用して分かった使い勝手とパフォーマンス面をねっとりチェックする。

news041.jpg 最新タブレット速攻レビュー:「MeMO Pad 8」──“Winタブ”よりお手ごろ価格な8型Androidタブレット
8型タブレットとなると最近はWindows 8.1搭載モデルが人気だが、同サイズでAndroidなら“もっと低価格”である。2万円台で買える8型タブレット「ASUS MeMO Pad 8」をチェックする。

news052.jpg 最新PC速攻レビュー:「VAIO Pro 13」――さらにハイスペックを軽快に持ち運べる“14春モデル”徹底検証
高い人気を誇る薄型軽量モバイルノート「VAIO Pro 13」が、より高性能なCPUを搭載可能になった。その実力を確かめるべく、直販ハイスペックモデルをじっくり検証する。

news062.jpg 「3年先を行く」製造技術:タブレット市場に注力するIntelのモバイルプロセッサ戦略
Intelは“他社の3年先を行く”半導体製造技術でタブレット市場における影響力の拡大を目指す。同社のモバイルプロセッサ戦略をまとめた。

news116.jpg LaVie Z&LaVie G タイプZロードテスト:第23回 2560×1440解像度スゴイ……格段に作業効率が上がる「超高解像度ディスプレイ」
ウルトラ軽量に加え、「超高解像度ディスプレイ」もLaVie Z(IGZOモデル)の魅力だ。今回はこのディスプレイの使い勝手と応用方法を考えてみた。

news107.jpg SOHO/中小企業に効く「ビジネスPC」の選び方(2):Windows XPから乗り換えるべきは“7”か“8.1”か
Windows XPのサポート終了に際して、どのようなPC環境に移行すべきか? まずはWindows 7か、Windows 8/8.1か、次のメインOSを選択する必要がある。

news057.jpg NUCやUltrabookをもっと速く:アキバで人気のSSDにmSATA版が登場――「Samsung SSD 840 EVO mSATA」徹底検証
抜群のコストパフォーマンスで高い人気を誇るSSD「Samsung SSD 840 EVO」にmSATA版が登場した。容量が1Tバイトまで用意されているのも興味深い。早速、性能をチェックしよう。

news033.jpg SOHO/中小企業に効く「UPS」の選び方(第2回):「UPS」を正しく選ぶコツ――容量の計算方法は? 給電方式とは?
「無停電電源装置(UPS)」の基礎知識から、機器に合った製品選びまで、順序立てて解説する本連載。第2回は、UPSの選定で知っておくべき、容量の計算方法や給電方法の違いを紹介する。

news032.jpg 「ThinkPad X240s」ロードテスト:第4回 大きく変わった「5ボタントラックパッド」を快適に使えるようにする、2つのコツ
業務に使うPCとして積極的にThinkPadを選んできた理由の1つに「トラックポイント」がある。今でもノートPCに搭載するポインティングデバイスとして唯一無二の存在だと確信しているが……。