ファイルメーカーPro ユーザーの現場を探る
第3回 大量の写真画像をIllustratorで自動配置し、スーパーのチラシを短期間で制作する「エヌティ企画」(4/4)
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このシステムを使うようになってからは、チラシで使用する画像の登録、ピックアップ作業をIllustratorオペレーターが行う必要がなくなりました。「熟練者でなくても、パートの人でもJANコードを指定するだけでオペレーターにデータを渡すことができるんです」と山村氏。オペレーターは、Illustratorでデザインを整える作業に集中できるわけです。スーパーで使われるチラシの受注から刷り出しまでの期間は非常に短く、「百貨店の場合、1カ月くらいかけることもあるそうですが、同社のスーパー用チラシの場合は最短でわずか1日でフィルム出力までやることもある」そうです。エヌティ企画では、高価な色校正用プリンタとフィルム出力機がオフィスにあり、チラシ制作の最終工程までを行うため、時間短縮においては効率化されているはずですが、そこを画像データベースと自動処理の利用によってさらに短縮しようというわけです。

大日本スクリーン製造のタイプセッターでフィルム出力し、あとは印刷するだけ

色校正用の大型プリンタ
現在、岩尾氏はこのシステムをさらに使いやすくするためのさらなる工夫に取り組んでいます。1つの製品の写真が複数用意されている場合、クライアントのスーパーによって、デフォルトで使う画像があらかじめ決まっているものがあります。その場合に選択しなくてもすむように、そのデフォルト画像を決めておくことができるようになれば、オペレーターの作業が1ステップ減ることになります。岩尾氏はもともとシステム担当ではなかったのですが、「レイアウトをちょこちょこっといじるだけでできそうです。始めて何カ月かで、しろうとでも組めるんだからすごいソフトです。ちょっと本を読みながらやっただけなんですが」と、すんなり「開発者」になれたそうです。エヌティ企画では、写真画像の管理だけでなく、売上管理、発注書の印刷などもすべてファイルメーカーProベースで行っており、同社の業務には欠かせないものになっています。

Theta ECHOSをさらにカスタマイズして、さらなる効率化を図る

同社では、営業担当者にiBookを持たせ、客先で撮影してPHSで即座に画像データを送ったり、校正をその場でチェックしたりできる体制を整えつつある
ファイルメーカーProは自力で開発できる、作りやすいツールですが、特定業務に特化したサードパーティツールがあって、それで解決できれば、それもまたすばらしいことです。特に、ファイルメーカーProは他のアプリケーションとの連携プレイに優れており、多くのすばらしいサードパーティ製品が登場しています。自分で開発する前に、すでにソリューションがあるかどうかを、ここで確かめておくとよいでしょう。既存のソリューションを自分たちの利用形態に合わせてカスタマイズすることも、ファイルメーカーProと同様に、敷居が低いのです。
[松尾公也, ITmedia
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