街の活性化に“実空間透視ケータイ”――青森の商店街ツアーで活用
ソーシャル・ネットワーキング・サービスと位置情報、拡張現実プラットフォーム「実空間透視ケータイ」を活用して街を活性化――。青森市が、こんな取り組みを行っている。
子育て世代向けサービスを充実させることで、市街地の魅力を高めようという取り組みが、青森市でスタートする。12月4日、携帯電話を活用した「まちなか子育てツアー」を実施し、小さい子供を連れた親世代でも楽しめる市街地の魅力をアピールする。
ツアーは子育て世代の母親を対象とするもので、「暮らしの達人♪コース」」「脱☆育児服コース」「プチセレブコース」の3つのコースを用意。参加者に子育て中でも楽しめる市街地の魅力を伝えると同時に、中心市街地の関係者に子育て世代向けサービスへの認識を高めてもらうことを目指す。
ツアーの企画に位置情報、SNS、拡張現実を活用
商店街ツアーの企画と実施にあたっては、大日本印刷の「情報クリッピングシステム」と、KDDIの「実空間透視ケータイ」を実験的に導入。ソーシャル・ネットワーキング・サービスや位置情報、拡張現実プラットフォームを活用することで、より利用者のニーズに合った情報発信を目指す。
情報クリッピングシステムは、自動で位置情報を取得し、その位置に関連する写真やコメントを表示するシステム。今回のツアーでは、企画者側が街中106カ所のおすすめスポットをマップ上に掲載し、企画の参考にしたという。ツアー時には参加者に、KDDIから情報クリッピングシステムアプリの入った携帯電話が貸与され、おすすめスポットに近づくと携帯が振動してスポットに近づいたことが分かるようにする。
実空間透視ケータイは、情報と位置を結びつけて携帯端末上に表示するユーザーインタフェース。今回の企画では、携帯端末の画面をかざすことでまちなかのおすすめスポット情報を表示できるようにした。
今回の取り組みは、慶應義塾大学コ・モビリティ社会研究センターが「コ・モビリティ社会の創成プロジェクト」の一環として大日本印刷、KDDIと共同で実施するもので、青森県青森市と青森市中心市街地活性化協議会の協力を得て実現した。
今後、慶應義塾と青森市、青森中活協は、来春以降も商店街ツアーを継続するための準備をすすめるとともに、まちなかの子育て世代向けサービスの課題に関する検討を行う方針。情報クリッピングシステムや実空間透視ケータイを活用した中心市街地の情報発信、子育て世代向けまちなかマップの作成にも取り組むとしている。
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