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増収増益のソフトバンク、「X+X=X」の方程式で「4000万回線実現」と孫氏

ソフトバンクの4〜9月期決算は増収増益。決算会見で孫社長はスマートフォンやタブレット端末への積極的な姿勢が好調を後押ししているとの見方を示し、こうした経営戦略のもと、2010年代中に契約回線を4000万にする構想を新たに掲げた。

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photo ソフトバンクの孫正義社長

 「201X年に4000万回線を実現する」――ソフトバンクが10月28日に行った2010年4〜9月期の決算会見で、同社の孫正義社長は、現在約2400万あるモバイル回線契約数を2010年代中に4000万契約に増やす計画を明かした。iPhoneやiPadといったスマートデバイスに引き続き注力することで、4000万回線構想の実現を目指す考えだ。また、同社の電波エリアが「満足できる状態にない」と語り、経営の最重要課題として改善に取り組むとした。

 同社の売上高は前年同期比9%増の1兆4650億円、営業利益は37%増の3155億円で、増収増益となった。5期連続で営業利益を増やしたことや、純有利子負債をボーダフォン買収時から約9300億円減の約1兆4500億円にしたことなどを孫氏は紹介し、「一言で申し上げて順調」と胸を張る。


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 事業の主軸である移動体通信事業は、4月〜9月の契約純増数が前年同期の2.3倍となる160万を記録し、他社を上回るペースで増加。また、世界的にも減少傾向のARPU(1人あたりの月額利用料)が、データARPUの上昇により増加トレンドにあることを孫氏は強調する。そして、こうした好調を支える重要な要素として、スマートフォンやタブレット端末、特にiPhoneとiPadの存在をアピールした。

 孫氏は、同社の端末出荷台数におけるスマートフォンの比率が「他社よりも高い」とし、「特に新規契約では相当に比率が高い」と説明した。具体的な数字について孫氏はコメントをさけたが、Gfk Japanの携帯電話販売ランキングで「iPhone 4」が17週連続で首位を獲得している状況などを踏まえると、同社のラインアップの中でiPhoneの人気が飛び抜けているのは明らかだ。また、同社のデータARPU増加にも、インターネットと親和性の高いiPhoneの普及が一役買っている。

 ドコモやKDDIもAndroid端末を中心にスマートフォンの取り組みを強化しているが、孫氏は「iPhoneのそっくりさんも出ているが、似て非なるもの」とiPhoneに絶対の自信を見せる。ソフトバンクはAndroid端末「HTC Desire II」や「HTC Desire HD」を用意するなど、iPhone以外のスマートフォンにも取り組んでいるものの、スマートフォンやタブレット端末の分野では「iPhone、iPadの優位は当分揺るがない」というのが孫氏の考えだ。また、iPhoneにおいては、女性ユーザーの比率が増加していると説明し、先進性を求める男性だけに留まらず、人気が定着しているとの見方も示した。

勝利の方程式「X+X=X」で契約回線4000万の実現目指す

photo 同社が掲げる“勝利の方程式”

 スマートフォン事業での優位性を再三強調した孫氏は、同社の“勝利の方程式”として「X+X=X」という謎めいた式を示した。この式におけるX印は、“何かが下降傾向になり、何かが上昇傾向になる”ということを上昇線と下降線の交差で表現した図のようだ。1つめのXは“スマートフォン比率が増え、従来端末比率が減る”、2つ目のXは“スマートパッド(タブレット端末)比率が増え、PC比率が減る”という意味がこめられており、これにより“ソフトバンクが増え、他社が減る”という3つ目のXが導き出せるという。

 スマートフォンの比率が徐々に増加するという予測は、ソフトバンクに限らずNTTドコモやKDDIにも共通しており、各社はスマートフォン事業を加速させている。これに加えて孫氏は、iPadのようなタブレット端末がPCに取って代わると主張。iPhoneやiPadを持って以来、PCに触れなくなったという自身のエピソードを語り、「一般的にそうなる時代がいずれ来る」と続ける。「極論を言えば、ノートPCを持っているのが恥ずかしい、ネットブックは隠さなければならない時代が来る」(孫氏)


photo iPhoneの女性ユーザー比率の変化

 こうした中で孫氏は、iPhoneとiPadという武器を持ち、スマートデバイス事業に他社よりも注力するソフトバンクが“勝利し続ける”という青写真を描く。そして、勝利の方程式の先にあるものとして、2010年代中の4000万契約の実現を挙げた。「言ったからには何が何でも実現する。どこかの段階で4000万回線を実現する」(孫氏)。スマートフォンやタブレット端末の分野でナンバー1の地位を築き、契約数の純増が続けば、「十分に射程圏内に入る」数字だと孫氏は主張した。

「弱点」は電波エリア ウィルコムの資産を生かし強化

 強気な発言を繰り返す一方で、電波エリアが自社の弱点であることを認めた孫氏。経営の最重要課題と位置付け、「何としてもカバー範囲を良くしたい」と意気込む。2010年3月末には約6万局だった基地局数を、2011年3月末までに約12万局に倍増させる目標で、2010年9月末時点で7万局と3万の増設予定地を確保しているという。また、基地局の増設においては、同社が支援するウィルコムの基地局ロケーションやエンジニアを生かしていくとした。

 ウィルコムの再建に関して孫氏は、自社が減益傾向にあったボーダフォンを買収し、再生させた経緯になぞらえ、「ウィルコムにおいても何とかできるのではないかと思っている」と語った。

 そのほかネットワークに関しては、通信速度向上の施策についても話が及んだ。「いくつかの方法で速度を上げようと考えている」と孫氏は語り、そのうちの1つは「11月の発表会で触れさせていただく」とコメントした。

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