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ソニーのロボット技術、ARに生きる――空間構造を認識する「SmartAR」(2/2 ページ)

ロボット開発で培った画像認識や人工知能のノウハウを生かしたAR技術「SmartAR」をソニーが開発。空間構造を認識することで、リアルなAR表現を可能にするという。動画も交えて紹介しよう。

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ロボット技術でARがかしこくなった

photo ソニー システム技術研究所 知的システム研究部リサーチャー 福地正樹氏。同氏はQRIOの開発メンバーだ

 マーカーレスAR技術に、同社が「AIBO」や「QRIO」のロボット開発で培った“3D空間認識技術”を組み合わせたのも、SmartARの大きな特徴。ロボットが身の回りの空間構造をカメラで認識する技術や、自分が今どこにいるかを認識する技術などを応用して、従来よりも高度なARを実現する。

 ロボット技術により、AR表現がどう変わるのか。ソニーのシステム技術研究所でSmartARの開発に関わる福地正樹氏は、「空間を大きく使うARが可能になった」と語る。

 これまでのARでは、トリガーとなる画像がカメラの視界から外れると、仮想物体の空間上に配置することができなくなる。このため、画像がカメラの視界に収まる範囲でしかAR表現ができなかった。しかしSmartARでは、カメラの視界からトリガー画像が消えても、周りの空間の変化を認識しながらARを正しい位置に表示しつづける。そのため、カメラの視界からはみ出るような大きなAR表現も可能になるという。

 3D空間認識技術を活用すると、ARのボールがテーブルをはねたり、現実の物の形にそってARの水が流れたりと、よりリアルな演出も取り入れられる。ARキャラクターが部屋の中を自由に歩き回るような世界も、将来的には夢ではないという。


photophoto 会場マップのボードがカメラの視界から外れても、ARを表示しつづけている(写真=左)。ARの水がコップからあふれ出した。注目はテーブルに置かれた本の部分。本に合わせて水がはねている(写真=右)

 3D空間認識技術は、スマートフォンでは処理能力が足らず実現していない。しかし、端末の進化が速いことから、近い将来に搭載できるという。


 国内では2009年ごろから商用化の例が目立ってきているARだが、事業化には各社苦戦しているのが現状だ。ARの表現力がまだとぼしく、「顧客体験として“ちょっとおもしろいだけ”」にとどまっていることが、課題の1つと福地氏はみる。

 空間を高度に認識するSmartARでは、「より日常的で、快適で、リアリティーのあるARを提供できる」(ソニー システム技術研究所 藤田雅博所長)というのがソニーの考え。特にゲームなどのエンターテインメント分野で、同技術が活用できるとみている。

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