速度は無線LANの20倍――パナソニック、60GHz帯のモバイル向け無線伝送回路を開発
パナソニックが60GHz帯を利用したモバイル端末向け高速無線伝送回路技術を開発。IEEE802.11adのドラフト仕様に対応し、30分のハイビジョン映像を10秒以下で転送できる。
パナソニックは6月2日、既存の無線LANの20倍以上の通信速度を実現するモバイル端末向け無線伝送回路技術を発表した。WiGigやIEEE802無線委員会が策定するIEEE802.11adのドラフト仕様に対応し、免許を必要としない60GHz帯を利用する。
60GHz帯を使った無線方式は、据え置き機などで実用化されているが、スマートフォンなどのモバイル端末では実現していない。同社は今回、60GHz帯の送受信部とベースバンド処理部をCMOSに集積して小型化したほか、回路の最適化することでモバイル端末でも動作する1W以下の消費電力を実現した。
試作レベルでは実測で1Gbpsの通信速度を達成。今後の改善で2Gbpsの実現が見込まれ、既存の無線LANの20倍以上の高速通信が利用できるようになるとしている。30分程度のハイビジョン映像を10秒以下で転送できるなど、大容量コンテンツの送受信が容易になる。
新技術として、9GHzの帯域幅を使いながら世界最高レベルという低ノイズ性能を実現する独自の「マルチバンド電圧制御発振回路技術」を採用する。中心周波数から1MHz離れた測定点での1HzあたりのS/N比を−95dBに抑えている。
「誤り訂正符号復号回路技術」による回路規模の削減も特徴。複数用意された誤り訂正符号に対し、別々に演算回路が必要なところを、一部の回路を共通化することでデジタル回路規模を30%以上削減し、省電力化を実現した。
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