第40鉄 夏の青春18きっぷ旅(4)日本一のモグラ駅をズルい方法で訪ねた杉山淳一の+R Style(5/7 ページ)

» 2010年10月05日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 先に上りホームを見物する。駅舎の近くである。青空の下、さわやかな風が吹き抜けた。2両編成の電車がやってきて、数人のお客さんが乗り降りした。次の電車は3時間後だ。上越線が単線で開業した当時は、こちらに上下の列車が発着し、列車のすれ違いも行われたらしいが、今は線路1本、ホーム1本だけになっている。撤去された線路の空間が寂しい。

土合駅上りホームは地上駅。どこにでもありそうな田舎の駅

新しくなった土合駅地底ホームへ

 上越線を複線化するときに、新しい下り線のために長大な新清水トンネルを掘り抜いた。その途中に土合駅下りホームを作った。これが日本一のモグラ駅の由来である。では、486段の階段を下りてみよう。改札口を左へ、通路の突き当たりをまた左へ。長い屋根付きの通路が続く。窓の景色が良くて覗きながら歩いていたら、下に国道が通っていた。さっきヘンな通路だと見上げたところがここだったのか。土合駅は深さばかりが話題になっているけれど、上りホームと下りホームの間に国道が通っている駅でもある。これも珍しい。

地下ホームへの渡り廊下から、さっき歩いた国道が見える
これが土合駅名物の階段。途中に休憩用のベンチもある

 通路で24段を消化して、長い階段は462段となった。長さは338メートル。見下ろして深呼吸して、ゆっくりと降りていく。寺社の参道とは違い、5段ごとに広くなっていて勾配は緩い。真っ直ぐな階段で、ゴール地点が見えるから励みになる。「階段だけではなく、何事も目的地が見えれば前に進む気力が沸くものだな」などと悟りを開く心境だ。上ってくるグループと3回ほどすれ違った。列車は来ない時間帯だから、見物に来て、階段を下って上ってきたようだ。元気だなあ。

ホームから階段の上を見上げる。『クライマーズ・ハイ』で堤真一氏が上ったところ

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