米国シアトル郊外のボーイング・エバレット工場で2011年9月26日、787の1号機がANAに引き渡され、盛大にセレモニーが行われた。ANAの特別塗装が施された同機は翌27日早朝にシアトルを飛び立ち、日本時間の9月28日午前9時2分に羽田に到着。世界が注目した3日間を、シアトルと羽田──双方の現場からお伝えする。
羽田空港に隣接するANA原動機センターの屋上で、私はいま待機している。集まった300人を超す報道関係者とともに。2011年9月28日の午前8時15分。太平洋上を現在飛行中の787が羽田空港のどの滑走路に降り立つかは、ぎりぎりまで分からなかった。その日の風の向きによって、使用滑走路が変わるからだ。
C滑走路またはD滑走路を使用する場合はANA原動機センターの屋上へ、B滑走路だったらANAケータリング工場の屋上へ。用意された撮影場所について、集まった報道陣たちはANAのスタッフからそう指示を受けていた。そしてつい先ほど、787の着陸はC滑走路だと分かり、大挙して原動機センターの屋上へ移動してきたのである。
さあ、もう間もなくだ。いまからちょうど9時間前──シアトル時間の午前7時16分に、現地から私の取材パートナーである航空写真家のチャーリィ古庄氏より「ANAの787初号機はほぼ予定通りの時刻にボーイング・エバレット工場に隣接するペインフィールド飛行場を離陸しました」と連絡が入った。
シアトルでの受領式とそれに続くセレモニーの取材のため、古庄氏は数日前から現地入りしていた。しかし現地に飛んでしまうと、歴史的な羽田到着のシーンの取材・撮影ができない。そこで2人で手分けして取材を進めることになり、私は羽田で到着を待つことになったのだ。まずは古庄氏からの報告をもとに、昨日と一昨日のシアトルの様子をお伝えしよう。
あいにくの雨──。いや、あいにくというより、この季節のシアトルでは当たり前のような天候だ。思えば2009年12月に787が初飛行を遂げたときも、同じような鉛色の空から冷たい雨が落ちていた。
「気温もかなり低いですが、会場はものすごい熱気です」と、古庄氏は現場から伝えてきた。「世界中のマスコミ関係者とともに、これまで787の製造に関わってきたボーイングの社員たちも大勢集まっています。1000人近いと世話役の人は話していましたが、そんな数じゃありません。おそらく何千人という規模でしょう。シアトルだけでなく、787の部材を製造しているカンザスやソルトレイクシティから来たという社員にも会いました」
時刻は、現地時間で9月26日の午前9時。ANAに引き渡される特別塗装の1号機はその前日にすでに報道陣に披露され、ランプエリアで撮影した写真が古庄氏から私のもとに届いていた。彼はその日の夜にもエバレット工場に撮影に出かけたそうで、「ライトアップされた787がとても幻想的でした」と送ってくれた写真もある。
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