ルフトハンザは2011年7月15日より、同社の国内主要路線であるハンブルグ/フランクフルト線でバイオ燃料によるデイリー運航を開始した。これまでバイオ燃料を使った実験フライトを単発で行ってきたエアラインはあるが、定期路線での運航は世界でも初めてだ。その詳細や狙いを取材し、実際のフライトを体験するため、私はカメラマンを伴ってハンブルグへ飛んだ(写真撮影:佐藤眞博)。
私はいま、ハンブルグ国際空港のランプエリアに降り立っている。もちろん、当局の許可を得てのことだ。時刻は現地時間で17時を回ったところ。もう間もなく、フランクフルトからのLH018便──エアバスA321が到着し、ここA17番スポットに入ってくる。
「到着は定刻どおりと連絡が入りました」
私の横で、ルフトハンザ広報担当のトーマス・エリック氏が言った。LH018便はスポットインしたあと、すぐに出発準備にとりかかり、折り返しのLH023便として18時05分に再びフランクフルトに向けて飛び立っていく。私たちもその便に乗って行かなければならない。撮影に充てられる時間は、わずか20分ほどだ。
「バイオ燃料が積まれるのは右主翼のエンジンです」とエリック氏は説明してくれた。「燃料の注入作業などは通常のフライトとまったく変わりませんが、機体のエンジンカバーや給油作業車のタンクに『Pure Sky』のロゴマークが入っています。バイオ燃料フライトであることを示すマークですので、それを写真に押さえておくと分かりやすいかもしれません」
A321はエアバスの単通路型双発機で、このLH018/023便で使用されているレジ番号「D-AIDG」の機体には、2基あるエンジンのうちの1基にバイオ燃料が搭載される。ルフトハンザはハンブルグ/フランクフルト間を毎日14往復/28便を運航。そのうちの4往復/8便で、2011年7月15日からバイオ燃料によるフライトを開始した。
しかし利用する側にとっては、乗り心地も日々のオペレーションや運航スケジュールも、通常のフライトと何ら変わらない。というより、変わってはいけないのだ。目で見て分かることといえば、燃料タンクに「Pure Sky」のロゴマークを入れた給油作業車が、同じマークのついた機体エンジンに燃料を補給しているというシーンだけ。「ですから、それを撮影するといい」というエリック氏からのアドバイスと同じことを、空港に来る前に面会したルフトハンザの2人の重要人物からも言われていた。
ハンブルグ国際空港へ移動する前に私たちが訪ねたのは、ルフトハンザの技術拠点であり、航空機のMRO(メンテナンス、リペア、オーバーホール)を請け負う世界最大の民間航空エンジニアリングサービス会社──ルフトハンザテクニックだ。その一室で、バイオ燃料担当シニアマネージャーのアレクサンダー・ツショッケ氏、技術担当ディレクターのフランツ・ヨゼフ・キルシュフィンク氏の2人に会うことができた。
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