CX-5、大柄なボディに似合わぬワインディング走行での安心感試乗インプレッション(3/4 ページ)

» 2012年06月18日 15時30分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

ドライバーを「しなやかな運転」に導くi-DM

 こう書くと、何だか退屈なドライブフィールのように聞こえるかもしれない。だが、筆者は2日間で200キロほどCX-5を走らせている間、一切退屈することはなかった。というのは、このクルマにもマツダ独自のドライビング判定システム「i-DM」が搭載されているからだ。

CX-5

 i-DMはドライバーの運転操作を「エコな運転」と「しなやかな運転」の2つの基準で採点し、それをポイント化して表示する。特に、後者の「しなやかな運転」の採点基準が面白い。

 一般的には、安全でエコな運転をするには、加速や減速はできるだけ緩やかにした方がいいと思われている(もちろん、別の意見もあるだろうが)。ただし、マツダがi-DMで打ち出している「しなやかな運転」は、緩やかな加減速だけではポイントアップしない。

 むしろ、加速するべきところではきっちりアクセルを踏み、減速もだらだらと長い間ブレーキをかけるのではなく、しっかりペダルを踏み込んで過不足なく制動力を引き出さないと得点は上がらない。普段「ユルイ」運転をしている人にとっては、「ちょっと踏みすぎかな?」と思うぐらいの方が、むしろ得点につながる。

 もちろん、もちろん急加速、急ブレーキは禁物だ。床までアクセルペダルをベタ踏みした急加速は、即座に大減点になる。

CX-5CX-5 CX-5にも運転支援システム「i-DM」を搭載

 i-DMは、こうした「しなやかな運転」ができた瞬間、青いランプを点灯させてドライバーを褒めてくれる。これが面白くて、おのずとしなやかな運転をしようと心掛けて走行するようになるのだが、ある程度走り込んでいくうちに、CX-5のリニアな操作感はしなやかな運転を目指すのに実は適していることに気付いた。

 アクセルを踏めば踏んだだけ加減速し、ハンドルを切ったら切っただけ曲がる。クルマが勝手な挙動を見せず、ドライバーの操作に対して素直に反応するため、しなやかな運転がしやすいといえる。この辺りに、走りにこだわるマツダの内なるメッセージが込められているようにも感じた。

大柄なサイズに似合わぬワインディング走行での安心感

 ドライビング特性は、市街地からワインディングに走行ステージを移しても変わらない。実は、今回の試乗を通じて最も印象に残ったのが、ワインディングでの走行だった。

CX-5

 とはいっても、いわゆる「スポーティな走り」というのとは少し違う。俊敏な回頭性を生かしてクイクイ曲がっていく、というフィーリングではない。そうではなく、やはり街乗りで抱いた印象と同じく、狙ったラインをきれいにトレースしていく感覚だ。

 コーナリング中の挙動も非常に安定している。ちょっと速めのペースでコーナーをすいすいと抜けていくぐらいの走りであれば、急激なロールやステアリング特性の変化など、ドライバーを不安にさせるような挙動を一切感じない。

 恐らくは足周りがきちんと仕事をしているのだろう。タイヤがしっかり接地している安心感が常に感じられる。しかも、コーナリング中に「少し外側に膨らんでしまったかな?」といった場面でも、ステアリングを切り増せばクルマが反応する。

 これは、以前にアクセラを試乗したときの感覚と非常に似ている。1回り大きいCX-5の大柄なボディで、しかも重心が高いSUVで同様のコーナリングフィールが味わえるとは、正直意外だった。この辺りの乗り味は、CX-5で初めて採用された「SKYACTIV-BODY」によるボディとシャーシの高剛性化と軽量化が効いているのだろうか。

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 ただし、上り勾配でアクセルをドンと踏み込み、エンジン回転数を一気に上げると、低中回転域では比較的静かだったエンジンが、途端に大きなノイズを発する。その音質もスポーティなものではないので、人によっては走りの楽しみが殺がれるかもしれない。これは、高速道路の合流や追い越し時の急加速でも感じられたことだ。

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