試乗車にはオプション装備である「スポーツパッケージ」が装着されていた。この装備の中には、スポーツサスペンションと16インチタイヤ(標準モデルは15インチ)が含まれている。
コンパクトな車体ということもあり、乗り心地は硬いのではないかと予想していたのだが、意外なことにこれが悪くない。それどころか、多少路面が荒れている程度ならば、ほとんどハーシュネスが伝わってくることもない。これには少し驚いた。
もっとも、かなり荒れた路面や大きめのギャップを乗り越える場面となると、さすがに衝撃が「ドン!」と伝わってくる。スポーツサスペンションのセッティングの特徴なのだろうか、振動がある一定量を超えると振動吸収の特性が急に変わるような感覚だ。この辺りのフィーリングは、標準仕様のサスペンションとタイヤであれば変わってくるのかもしれない。
逆に、コーナリングの安定度はさすがスポーツ仕様ならでは。試乗コースは一般道だったので、本格的なコーナリング走行を試すことはできなかったが、それでもちょっと速めのスピードでコーナーに進入してもドライバーを不安にさせるような挙動を一切見せずに、オン・ザ・レール感覚でクリアしていく。
また、Audi A1 Sportbackには、電子制御式LSD機能を組み込んだESP(エレクトロニクススタビライゼーションプログラム)という機構が搭載されている。コーナリング時の回頭性を高める働きがあるというが、これもまたコーナリングの軽快感と安定感に一役買っているのかもしれない。とにもかくにも、これはぜひ一度ワインディングで走らせてみたいと感じるほどに、スムーズなコーナリングを見せてくれる。
なお、5ドア化に当たって多くの人が気になるのが、後部座席の居住性ではないだろうか。結論から言えば、ちょっとしたドライブであれば大人4名が乗車しても問題なさそうだ(定員は5名)。しかしロングドライブとなるとちょっと……といった感じだろうか。
実際に、身長177センチの筆者が後部座席に座ってみたところ、ヘッドクリアランスはちょうど頭が天井に付くか付かないかといった程度だ。また足元のスペースは狭くもなく、かといって広くもなくといった具合で、及第点の広さは確保できているように感じた。
あくまでも筆者の体格を基準にした感覚であって、これが小柄な人や子どもであれば、もちろん問題なく快適に過ごすことができるだろう。そういう意味では、確かにアウディがAudi A1 Sportbackのメインターゲットに想定しているニューファミリー層にとっては、ぴったりくる仕様なのかもしれない。
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