ただし、ステアバイワイヤ技術は、制御信号の伝達に何らかの不具合が発生した場合に、全くステアリング操作を行えなくなるという問題がある。機械式ステアリングの場合、EPSのモーターの不具合でステアリングホイールの操作が重くなるといったことはあるものの、機械的な接続が確保されていればステアリング操作が完全にできなくなる可能性は極めて低い。ステアバイワイヤ技術を実用化するためには、システム内に何らかの不具合が発生しても、最低限ブレーキをかけて停止するまでステアリング操作が行えるような冗長性を確保する必要があるのだ。
これらの事情から、多くの自動車メーカーは、コンセプトカーや試作車などでステアバイワイヤ技術の開発状況を公開することはあっても、量産車両への搭載については慎重な姿勢を示していた。
数ある自動車メーカーの中でも、ステアバイワイヤ技術の開発に積極的な姿勢を示してきたのが日産である。「東京モーターショー」では、「PIVO 2」や「ランドグライダー」などのコンセプトカーを使って、ステアバイワイヤ技術の可能性をアピールしている。
さらに2010年4月には、国内の車載ソフトウェア標準化団体であるJasParの開発成果として、ステアバイワイヤ技術を用いたステアリングシステムを搭載する「フーガ」を公開した。
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