シンガポール航空が立ち上げた新しいLCC、スクートを丸ごと体験秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(4/4 ページ)

» 2013年08月30日 07時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3|4       

“プライスレス”なサポート

 そんなリーダーに率いられたクルーたちも、とにかくフレンドリーで陽気だ。「採用にあたっては人間性を最も重視した」とウィルソン氏はいう。一方で、パイロットもキャビンクルーも訓練は定評あるシンガポール航空の施設で受けているせいか、機内では乗客への対応が行き届いている。動きに無駄がない。

飛行機と空と旅飛行機と空と旅
飛行機と空と旅飛行機と空と旅 クルーたちは機内サービスをしながら、乗客と笑顔でコミュニケーション

 離陸して水平飛行に移ると、事前に予約を受けた各種ミールが、リストをもとに速やかに乗客に届けられていく。機内食の注文はもちろん、搭乗後でも可能だ。ただし「ホットミールはご注文を受けてから暖めますので、30分ほどお待ちいただきます」といっていたので、オーダーする場合は早めがいいだろう。事前予約なら、日本路線の「スキヤキ」やオーストラリア路線の「ミートパイ」といったご当地メニューも味わえる。

 スクートビズの利用者には、映画やテレビプログラムなどの機内エンターテインメント「Scoo TV」が楽しめるタブレット端末も配布される。機内ストリームによる機内エンターテインメントはアジアの航空会社では初めて。またWi-Fi機能をもつラップトップやタブレットがあれば、乗客自身の端末でもOKだ。

 キャビンクルーは現在、スクート全体で約300名いて、日本人も14名が在籍している。私たちが利用したTZ201便には9名のクルーが乗務し、チャンギ空港到着後に「お客さんが降りられてからぜひみなさんで記念撮影を」とリクエストしてみたら、機長も含めて全員で快く協力してくれた。

飛行機と空と旅 みなさんで記念撮影を、というリクエスに機長も含め全員で協力してくれた

 他のLCCと同様、エコノミークラス利用の場合は食事や機内エンターテインメントは有料になるが、クルーたちの笑顔にはもちろん追加料金はかからない。日本から台北やシンガポールへ、そしてシンガポールを拠点にアジアやオセアニアの各都市へ。黄色と黒のユニフォームに身を包んだクルーたちの“プライスレス”なサポートを受けながら、まずは一度、実際に飛んでみることをおすすめしたい。

著者プロフィール:秋本俊二

著者近影 著者近影(米国シアトル・ボーイング社にて)

 作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。

 著書に『ボーイング787まるごと解説』『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。

 Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.