どうなる「i-MiEV」、SUVをEV技術で実現する三菱自動車
他社に先駆けてEVの量産を開始した三菱自動車。他社とは逆にEVからプラグインハイブリッド車(PHEV)へと展開する。SUVクラスの車種を狙うためだ。
三菱自動車は2011年11月9日、「東京モーターショー2011」(2011年12月2〜11日、東京ビッグサイトで開催)の出展内容を発表した。
モーターショーで世界初公開となるのが、小型、低価格、低燃費をコンセプトとしたコンパクトカー「MIRAGE(ミラージュ)」と、環境対応SUV「MITSUBISHI Concept PX-MiEVII」(PX-MiEVII)である。
三菱自動車は、電気自動車(EV)「i-MiEV」を2009年に販売開始後、2011年12月には第2弾として、軽商用電気自動車「MINICAB-MiEV」を発売する予定である【注1】。いずれもシティーコミューターとしてのEVだ。つまり、移動距離が短く、都市内部で少人数が移動するという用途である。
【注1】 三菱自動車は2011年10月28日から米国向けi-MiEVの生産を開始している。大人が4人乗車できるよう、国内向けよりも全長が280ミリ長く、それ以外の寸法やトレッドも大型である。モーターの最大トルクも16ニュートンメートル向上している。この車両は2011年11月中に米国西海岸などの4州で販売を開始し、2012年度末までに販売エリアを米国とカナダの全域に広げる予定だ
今回公開するPX-MiEVIIは、長距離移動が可能な中型乗用車クラス以上を狙った車種。ガソリンエンジンを搭載することで、走行距離を800キロ以上にまで延ばした。一種のプラグインハイブリッド車(PHEV)である。フロント用モーターとリア用モーターを搭載し、4WD走行が可能。
三菱自動車の「MITSUBISHI Concept PX-MiEVII」 2リッターのMIVEC、4気筒エンジンを搭載する。エンジン発電量は70キロワット。モーター出力は60キロワット×2。車体寸法は4660×1830×1680ミリ
同社は、PX-MiEVIIの環境対応性能を示すために、複合燃料消費率という指標を提示した。外部充電による電力を用いたプラグイン走行時の燃料消費率「プラグイン燃料消費率」と、ハイブリッド走行時の燃料消費率「ハイブリッド燃料消費率」とを複合した代表燃費値である。リッター60キロという高い環境性能が得られたという。
さらに、EV走行とハイブリッド走行をドライバーが制御する仕組みも盛り込んだ。例えば住宅街や夜間など静かに走行したい場合はスイッチ操作で「バッテリー走行モード」(EV走行)に入る。あらかじめ電力を電池に蓄えたい場合は、「バッテリー充電モード」を選べばよい。スイッチ操作によりエンジンで発電し、走行中のバッテリー消費を抑える。同社がこれまでi-MiEVを使ってテスト展示してきた家庭への電力供給V2H(Vehicle to Home)にも対応している。
なお、ガソリンエンジンを搭載したことで、EV走行距離自体は従来の160キロ(電池容量16キロワット時のGグレード)よりも少ない50キロとなっている。電池搭載容量は非公開だが、GグレードとMグレード(EV走行距離120キロ、電池容量10.5キロワット時)の中間を想定しているという。充電時間についても、GグレードとMグレードの中間になる。つまり、200ボルト時で4.5〜7時間ということになる。
車両重量も非公開だが、「ほぼ同じサイズのアウトランダークラスと同程度の重量である」(三菱自動車)という。なお、アウトランダーの車両重量は1530〜1620キロである。
車と住宅を一体化する取り組みも進める
このほか、東京モーターショー2011では、「MiEV ハウス」と「MiEV カフェ」を展示する。
MiEVハウスは、家庭用のHEMS(Home Energy Management System)とEV用のEIS(Electric Vehicle Integration System)を統合したシステムだ。HEMSは、電力需給問題への対策を考え、家庭内におけるエネルギーを最適に使用するために使う。EISは、走行時も含め車両状態を常時モニタリングするシステム。走行時でも、駆動用バッテリーの電力を利用する場合でも、常に充電量を最適に制御する。
MiEVカフェは、EV、PHEVの駆動用バッテリーから1500ワットまでの給電を可能とする大電力給電装置を利用したサービス。給電用の装置は、2011年度内に実用化を予定する。
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