ジョニデ×バートンのように、同じ監督と俳優が何度もタッグを組むメリット:映画ウラ事情
デップとバートンの2人がタッグを組むのは、何と『ダーク・シャドウ』で8度目。こういった定番タッグに、どういったメリット、デメリットがあるのだろうか。
「映画ウラ事情」とは:
映画専門サイト「ハリウッドチャンネル」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、ハリウッドチャンネルより転載しています)。
ジョニー・デップとティム・バートン監督のコンビで贈る『ダーク・シャドウ』が5月19日から公開された。デップとバートンの2人がタッグを組むのは、何と本作で8度目。
また、彼ら以外にも、レオナルド・デイカプリオとマーティン・スコセッシ、トム・ハンクスとスティーヴン・スピルバーグ、ウディ・アレンとスカーレット・ヨハンソン、ジョージ・クルーニーとスティーブン・ソダーバーグ、ブラッド・ピットとデヴィッド・フィンチャーといった具合に、定番タッグというのは意外と多いのだ。
では、こういった定番タッグに、どういったメリット、デメリットがあるのだろうか。『ダーク・シャドウ』の宣伝マンは、こう話してくれた。
「ジョニー・デップいわく、『細かいやりとりや指示を出さなくても分かり合えるというメリットがあり、言い争いもない』とのこと。また、ティム&ジョニー以外も例外ではなく、そのメリットはあると思います。宣伝的な立場からいえば、タッグものというのは分かりやすく、人々に伝えやすいですよね。デメリットは、そのタッグコンビの作品がシリーズものになったらマンネリ化してしまう点。まったく違うジャンルであれば、プラスでしかありません」
だとすれば、監督する側は、なぜ同じ俳優を起用するのだろうか。ある監督が答えてくれた。
「やはり、慣れているからやりやすいというのもありますが、撮影現場ではいろんなところでトラブルが発生するため、主演俳優が馴染み深い人だと、安心して任せられるというか、そこに手を焼くことがないので、本当に現場で助かるんです。これは特に俳優よりもスタッフがそうで、少しの説明で動いてくれるからこそ現場が回り、しいては時間と資金の節約になります。よく映画では●●組(●●には監督の名が入る)と総称され、その監督の常連スタッフが名を連ねているのですが、慣れたスタッフとやらないと、限られた期間内で撮影が終わらないんですよ」
ただ、とその監督は付け加える。
「監督サイドもそうですが、俳優サイドも相当の力を持っていないとタッグは組めないです。結局、力のない人間がやってしまうと、いくら手を変え、品を変えても、マンネリ化は避けられません。また、売れっ子の監督&俳優だからこそタッグ作だと気づくんですよ。そうでなければ、何度もタッグを組んだところで話題にもなりませんから」
確かに、前述の監督と俳優にしても、誰もが売れっ子で実力派ばかり。そう考えると、タッグ作品は観る価値大かもしれない。
映画ライター:安保有希子
1975年生まれ。夕刊フジ、日経エンタテインメント、DVDレビューなど、新聞・雑誌で執筆する傍ら、ラジオで映画コメンテーターを務める。ジャンルを問わず映画を鑑賞するが、好んで足を運ぶのは、B級とホラーとアニメ。そのため、オタクと勘違いされやすいものの、決してそうではない、と頑なに言い張っている。
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