2015年7月27日以前の記事
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日産が提示するステアバイワイヤ技術の可能性(4/4 ページ)

日産自動車は、ステアリングホイールによる操舵とタイヤの切れ角の変更を独立に制御できるステアバイワイヤ技術を開発した。自動車を、機械式ステアリングの制約から解放するこの技術にはどのような可能性が詰まっているのだろうか。

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車載カメラによる車線認識で直進安定性を確保

 ステアバイワイヤ技術を活用すれば、今までにない自動車の機能を新たに実現できるようになる。

 まず、電子制御でステアリング操作を行っているので、パラメータの変更によってモーターの出力などを調整して、さまざまな操作感を実現できるようになる。例えば、日常の運転に用いる「スタンダードモード」から、スポーツカーのような応答性を持たせた「スポーツモード」への切り替えを、ボタン1つで行える。

 この他、日産自動車は、ルームミラーの裏側に設置した車載カメラと連携する機能も実現している。車載カメラで認識した車両前方の車線と、路面のわだちや横風などによって進行方向がずれるような場合に、そのずれを低減するようにタイヤ角とハンドル反力を制御するというものだ。

日産
ルームミラーの裏側に設置した車載カメラと連携して直進安定性も確保できる(出典:日産自動車、クリックで拡大)

日本の自動車メーカーとして初めてFlexRayを採用

 ステアバイワイヤにかかわる車載ネットワークには、次世代車載LAN規格であるFlexRayを採用した。FlexRayの伝送速度は、車載ネットワークとして広く利用されているCANの10倍となる10Mビット/秒と高速である。通信方式も、CANのイベントトリガーに対してタイムトリガーを採用している。このため、ステアバイワイヤのような高い応答性が求められる車載システムに最適だといわれている。

 FlexRayの量産車への採用は、規格策定を主導してきた欧州の自動車メーカーが先行している。BMWは、2006年発売のSUV(スポーツ多目的車)「X5」の電子ダンパー制御システム「アダプティブドライブ」に世界初採用したのを皮切りに、2008年発売の「7シリーズ」のバックボーンネットワークや、2010年発売の「5シリーズ」の前後輪統合制御ステアリングシステムなどに採用している。この他、Audiが2009年発売の「A8」のバックボーンネットワークに採用した事例もある。

 これまで日本の自動車メーカーは、CANよりも高コストになるFlexRayの採用には消極的だった。今回、日産が採用したことにより、長らく“次世代車載LAN”と呼ばれてきたFlexRayの量産採用が拡大する契機になる可能性がある。

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