これがファーストクラスの最高峰、エミレーツ航空の「プライベートスイート」だ:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/3 ページ)
贅沢の粋をきわめたエアライン各社のファーストクラスのなかでも、エミレーツ航空がオール2階建て機エアバスA380に設置した個室キャビン「プライベートスイート」はとにかくスゴい! 成田からドバイへのEK319便で体験した、極上の空のもてなしをレポートする。
機内で使えるシャワー・スパ施設
エミレーツ航空がA380に設置したファーストクラスには、世界で唯一のサービスがある。機内にいながらにして熱いシャワーを使えるシャワー・スパの施設だ。シャワーの利用は予約制で、担当のクルーが一人ひとりの要望を聞き、30分単位で予約を受ける。私は食事の後の時間帯でブースを確保しておいてもらった。時間がくると、クルーが個室まで知らせにきてくれる。もし眠っていた場合に、声をかけるか起こさずにおくかも事前にきちんと確認される。乗客に対するケアはじつにきめ細やかだ。
ブースには石けんやシャンプーなど高級アメニティも用意されているほか、ドライヤーも完備。足もとは全面が床暖房になっていて、裸足でも心地よい。機内に搭載できる水量に限りがあるため、シャワーからお湯が出る時間は一人あたり5分間と決められ、残り時間をタイマーで確認しながら使用する。5分間ではちょっと忙しいかなとも思ったが、実際には十分な時間だ。シャワールーム専任の客室乗務員(CSA=シャワーサービスアテンダント)が配置されていて、一人の乗客がシャワーを使い終えると、そのつどバスマットやバスタオルなどは交換される。
リフレッシュして席に戻ると、担当クルーが飲み物とフルーツを持って現れた。用意された3種類のデトックスドリンクの中から、私は生姜とレモングラスの入った緑茶を選ぶ。それを飲み終えると、アッパーデッキ後方にあるバーラウンジへ。そこでスコッチをオーダーしてカウンター担当の日本人クルーとしばらく雑談を交わし、席に戻ると、電動式シートはフルフラットのベッドに変わっていた。担当クルーにベッドメイクをお願いしておいたのだ。ところで、同社のファーストクラスのサービスは機内だけにとどまらない。出発地の空港に到着してから目的地の空港を離れるまで、トーナルなもてなしが準備されている。私も現地に到着後は宿泊予定のホテルまでベンツによる送迎サービスを依頼しておいたので、安心して眠りについた。
著者プロフィール:秋本俊二
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。
著書に『ボーイング787まるごと解説』『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。
Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。
関連記事
- 「トラベル」インデックス
- 「秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話」
- 世界最大のオール2階建て旅客機、エアバスA380を解剖する
2007年10月にシンガポール航空のシンガポール/シドニー線でデビューを果たしたエアバスのオール2階建て旅客機A380の、世界へのネットワークが広がっている。「空飛ぶ豪華ホテル」の異名をもつこの巨人機は、どんな発想から生まれ、旅の可能性をどう広げたのか? - 大韓航空のエアバスA380がソウル/成田線に就航
2011年6月17日、大韓航空のエアバスA380がソウル/成田線に就航した。私は前日に仁川国際空港に入り、当日朝9時10分発の就航初便で成田までのフライトを体験。その詳細をレポートする。 - トルコ航空で“空のシルクロード”を行く
今年はどこへ旅しようか? ゴールデンウィークや夏の休暇に向け、早くもあれこれプランを練っている人も多いだろう。世界は広い。どのエアラインでどこを目指すかで、旅のスタイルも経験できる内容も変わってくる。2011年にぜひ候補の1つに加えてほしいのが、“空のシルクロード”を行くトルコ航空での旅だ。 - 仕事に、遊びに。香港3泊4日でエネルギーをフルチャージ
3泊4日で香港に飛んだ。たまった仕事を片づけ、同時にエネルギーをチャージして“元気”をもらうために。キャセイパシフィック航空で成田を発ったのは、クリスマスを翌週に控えた2011年12月の中旬だった。 - カリフォルニア州ナパバレーで“ワイントレイン”に乗った
成田からデルタ航空でアメリカ西海岸のサンフランシスコへ。そこからはフェリーを利用し、ワインの産地ナパバレーを目指す。今回の旅の目的はただ1つ──世界中の旅行者を魅了してやまない観光列車、ワイントレインに乗ることだった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.