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夢の国産旅客機が世界の空を舞う:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/5 ページ)
MRJ(三菱リージョナルジェット)の離陸が間近に迫っている。予定している初飛行は、2013年の第3四半期。多くのファンが待ち望んだ国産旅客機の実用化に向け、これからの半年間はまさに正念場だ。
環境性能こそが最大の武器
MRJの製造を担当する三菱重工業・名古屋航空宇宙システム製作所の飛島工場では現在、初号機の組み立て作業が順調に進んでいる。MRJは70席クラスと90席クラスの2つのタイプがあり、新型エンジンの搭載や最先端の空力設計などを採用。燃費効率も従来機に比べて大幅にアップした。この優れた環境性能こそが、リージョナル機市場におけるMRJの一番の武器だといっていい。
リージョナルジェットは今後20年間で5000機程度の需要が見込まれる成長分野だ。MRJはそのうちの1000機ほどを狙っている。ライバルの1社が、この分野で先行しているカナダのボンバルディア。50席から100席クラスまでのバリエーションをもつCRJシリーズでこれまで市場を着々と開拓してきた。
しかしCRJシリーズは、実用化されてすでに20年以上が経過している。その間、原油価格の高騰などでエアラインを取り巻く環境は大きく変化した。効率化や経済性を求めるユーザーの声が強まるなか、いま世に出ている既存の機種だけではニーズに対応できなくなりつつある。
「運航コストに占める燃料費の割合は、どんどん膨れ上がっていますからね。新しい技術を取り入れてCO2の排出量などを削減し、燃費を向上させたというMRJには、どこも少なからず関心をもっていますよ」
現在運航中の小型機の買い替えを模索しているというあるエアラインの幹部が、私にそう語った。
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