シンガポール航空が立ち上げた新しいLCC、スクートを丸ごと体験:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(1/4 ページ)
シンガポールを拠点に2012年6月に運航を開始した新しいLCC、スクートが急成長中だ。同年10月には台北(桃園)線を延長する形で成田にも就航。日本からの利用者に旅の新たな選択肢を提供してくれる同社のフライトを体験した。
シンガポールを拠点に2012年6月に運航をスタートした一番新しいLCC、スクートが急成長を続けている。アジアやオセアニアを中心に着々と翼を広げ、同年10月には台北(桃園)線を延長する形で成田にも就航。日本からの利用者に旅の新たな選択肢を提供してくれる同社を利用して、成田から台北経由でシンガポールへのフライトを体験した(写真撮影:中西一朗)。
LCCの古いイメージを払拭
これまで世界中のLCCを利用してきたが、ひと口に「ローコストキャリア」といっても、単純にくくることはできない。会社の数だけ、それぞれに個性も違うからだ。新しいLCCのスクートで成田から台北&シンガポールへのフライトを体験してみて、改めてそう実感した。スクートはいい意味で、これまでのLCCのイメージを払拭するキャリアだといっていい。
シンガポール航空100%出資のLCCとして2011年に設立された同社は、翌2012年6月にシンガポール/シドニー線で運航を開始した。その後はオーストラリアのゴールドコーストやタイのバンコク、中国の天津などに路線を拡大し、10月にはシンガポールから台北経由で成田にも就航。このレポートを書いている2013年8月現在で就航地は11都市に拡大している。
シンガポール航空グループでは、すでにタイガーエアウェイズというLCCが活躍中だ。しかしタイガーエアウェイズが短距離路線を中心に運航しているのに対し、スクートは中・長距離路線を専門に担当する。そのためLCCでは珍しく、400席クラスのボーイング777-200のみを使用。2014年の第4四半期以降には発注済みのボーイング787の1号機を受領する予定で、その後は777-200をすべて787に切り替えていくことも発表された。
従来機種より燃費を約20%節約できる787は、中距離でも長距離でも威力を発揮する万能型の戦略機種であり、これによってネットワークのさらなる拡大が可能になるだろう。「日本でも成田以外に3都市への新規就航を目指したい」(同社幹部)と意欲を示しているだけに、私たちの旅の選択肢はますます増えそうだ。
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