シンガポール航空が立ち上げた新しいLCC、スクートを丸ごと体験:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/4 ページ)
シンガポールを拠点に2012年6月に運航を開始した新しいLCC、スクートが急成長中だ。同年10月には台北(桃園)線を延長する形で成田にも就航。日本からの利用者に旅の新たな選択肢を提供してくれる同社のフライトを体験した。
大型機ボーイング777で運航
今回の旅で私たちが利用したのは、成田を12時10分に出発するTZ201便だ(2013年夏スケジュール)。台北までのフライト時間は3時間10分。台北到着の1時間20分後には再び離陸し、目的地のシンガポールに現地時間の20時ちょうどに到着する。
成田では、搭乗手続きやゲートでのハンドリングをJALに委託しているため、第2ターミナルからの出発となる。LCCごとに異なるチェックイン施設が混在するなか、大手キャリアと同じ国際線出発カウンターを使用しているので、初めての人でも迷う心配はない。この日の搭乗ゲートはサテライト側の98番。ボーディングブリッジを通ってそのまま機内に入れるのも他のLCCとは違う。そしてキャビンに一歩足を踏み入れると、ボーイング777という機材の優位性を実感できた。
キャビンは2クラス制で、エコノミークラスは横1列が“3−4−3”のレイアウトで370席を配置。LCCの“定番”ともいえる単通路型のエアバスA320などに比べて、シートピッチ(座席の前後間隔)はゆったりだ。さらに基本のスタンダードシート(ブルーのシート)のほか、シートピッチを10センチほど広くとったスーパーシートや非常口横の足もとスペースに余裕のあるストレッチシート(黄色のシート)を、それぞれわずかな追加料金で指定することもできる。
2013年8月21日からは、より静かで落ち着いた機内を望む乗客のために新設した「スクーティン・サイレンス」の販売も開始した。後述する「スクートビズ(ScootBiz)」席の後ろに独立した41席の客室空間を設け、スーパーおよびストレッチのシートを配置。12歳以下の乗客の着席を制限している。
そしてキャビン前方には、大手のプレミアムエコノミーに相当する「スクートビズ(ScootBiz)」を32席設置した。占有できるスペースもリクライニング角度もワンランク上だが、運賃はきわめてリーズナブル。もちろん運賃には機内食などのサービスが含まれている。
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