シンガポール航空が立ち上げた新しいLCC、スクートを丸ごと体験:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/4 ページ)
シンガポールを拠点に2012年6月に運航を開始した新しいLCC、スクートが急成長中だ。同年10月には台北(桃園)線を延長する形で成田にも就航。日本からの利用者に旅の新たな選択肢を提供してくれる同社のフライトを体験した。
気軽に颯爽(さっそう)と世界を旅する
「スクート(Scoot)」という社名を最初に聞いたとき、ずいぶんユニークなネーミングだなと思った。そこには「気軽に」というニュアンスで「颯爽(さっそう)と動く」といった意味が込められている。名づけ親は、同社設立とともにCEOに就任したキャンベル・ウィルソン氏だ。
実は今回私たちがそのフライトを体験取材することを知ったウィルソン氏から「せっかくだから、会おう」と声がかかり、シンガポールに到着した翌朝、滞在するホテルに来てくれることになった。
ウィルソン氏を私が初めて紹介されたのは、彼がシンガポール航空の日本支社長に就任した2010年3月である。生真面目で、ちょっと“堅物”かなというのが私が受けた第一印象だった。しかし、久しぶりに面会したウィルソン氏は、ずいぶん感じが違う。とてもフレンドリーで、とにかくよく笑うのだ。初めて会ったときは日本に赴任したばかりで、少し緊張していたのかもしれない。実際のウィルソン氏は、スクートという新しい、自由な雰囲気の会社のリーダーにぴったりな人という印象だ。
「CEOという肩書きはついていても、私自身は単なるスタッフの一人ですよ」とウィルソン氏は笑みを浮かべる。「オフィスも空港近くに借りたシンプルなワンフロアで、そこでスタッフたちと机を並べて和気あいあいと仕事をしています」
“この素晴らしい世界には見るべきものがたくさんある”──というのが、もともと大の旅好きである彼の持論だ。「旅の感動を手に入れる機会を、多くの人々に少しでも手軽に提供していきたい」と、常々語っている。ウィルソン氏のその考えは、そのままスクートのコンセプトになった。
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