実践したい空の旅のマナー&エチケット:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/3 ページ)
雲の上では、出会う乗客のタイプもいろいろだ。旅慣れたスマートな人もいれば、思わず目を覆いたくなるような身勝手な行動をとる人も。飛行機は大人のマナーを身につけて、カッコよく乗りたい。
機内での飲酒はほどほどに
フライト中に酒に酔った乗客から客室乗務員が暴力やセクハラ行為を受けるといった事件があとを絶たない。気圧が低くなる上空での飲酒は、地上に比べて酔いの回りが早くなるという事実も覚えておこう。飲酒後の血中アルコール濃度の数値は高度を増すにしたがって高くなるという研究結果も米国で発表された。「そんなつもりじゃなかった。まったく覚えていない」。機内で酔って暴れ、到着地で空港警察に連行される人の多くがそんなことを口にするそうだ。
CAとのコミュニケーションは積極的に
米国や欧州のエアラインの客室乗務員たちに聞くと「日本人の方はみなさん大人しい」という意見が一般的。その言葉には、じつは批判的な意味も込められている。おしぼりを手渡しても無言、飲み物を訪ねられても一言もしゃべらずにワゴンの上のペットボトルかコーヒーポットを「これ」と指差すだけ。英語を話すことに対するハードルもあるのだろうが、そういう日本人乗客の態度には、彼女たちもちょっと疑問を感じているようだ。
注文時にはさりげない一言を
「何かを注文されるときに、さりげない一言を添えていただけるお客さまには好感を持ちますね」と話すのは、アジア系エアラインに勤務する新人の客室乗務員だ。「そういう思いやりのあるお客さまには、サービスにも自然と力が入ります」。例えば「他のお客さんへのサービスがひと通り終わってからでいいんだけどさ……」と。
すると、その相手の客室乗務員は何と答えるか? 彼女はたぶんその場で「どうぞいまおっしゃってくださいませ。何でしょうか?」と笑顔で問いかけてくるはず。そして、他の乗客に優先して、あなたが要望したものをすぐに届けてくれるだろう。「後でかまわないので」「手の空いたときにお願いしたいんだけど」──そんなさりげない一言を添えてくれる乗客の“おもいやり”を、客室乗務員は敏感に感じ取る。
著者プロフィール:秋本俊二
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。
著書に『ボーイング787まるごと解説』『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。
Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。
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