実践したい空の旅のマナー&エチケット:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/3 ページ)
雲の上では、出会う乗客のタイプもいろいろだ。旅慣れたスマートな人もいれば、思わず目を覆いたくなるような身勝手な行動をとる人も。飛行機は大人のマナーを身につけて、カッコよく乗りたい。
機内持ち込み手荷物は頭上のラックに
機内に入ってから、手荷物を通路に無造作に置いたままにしたり、空いている隣のシートを自分の荷物置き場のように使って離陸前に客室乗務員から注意を受けている人をよく見かける。なぜ手荷物は座席の下か頭上のラックに収納しないといけないのか?
ひとつにはトラブルが発生して短時間で脱出しなければいけない場合に、荷物が通路をふさいでしまうと脱出の妨げになるからだ。また座席の下か頭上のラックに荷物を収納する理由は、事故などの衝撃で荷物が機内に散乱しないようにするため。
飛行機が離陸するときの速度はゆうに時速300キロを超える。その速度で進んでいるときに何かアクシデントが発生して、もしも乗客が荷物を手で抱えていれば……。その荷物が手から離れ時速300キロの弾丸となって他の乗客に向かって飛んでいく。そんな危険性があるのだ。
電子機器の取り扱い
離陸準備が整い、アナウンスで「今後は電子機器の扱いはご遠慮ください」と指示されたら、必ず従おう。例えば携帯電話だ。航空機の計器類や自動操縦システムは、ほとんど電波だけを頼りに動いている。携帯電話も立派な電波発信機で、そこから発信される電波がときに飛行機が受信すべき電波を妨害してしまうケースも。フライト中にコクピット内の計器がいきなり狂い始め、携帯を使用していた乗客をつきとめて電源を切らせたら狂っていた針がピタリと正常に戻る──そんなことが現実に起こっている。
シート選びやリクライニングでも気遣いを
最近はエコノミークラスのシートでも、背もたれ部が後ろに倒れるのではなく、座面が前方にスライドするリクライニング方式を採用するエアラインが増えてきた。しかし従来型シートもまだまだ多いので、背もたれを倒す際にはやはり後部席に人をちょっと気遣いたい。食事中などにいきなり倒してしまうと、飲み物をこぼしてしまうケースも。
また頻繁(ひんぱん)にトイレなどに立つ人は、通路側席を選ぼう。2本の通路を挟んで横1列が“3-4-3”の座席配置の大型機では、窓側の3席並びより中央の4席並びがオススメ。通路側席では、窓側の人が立つときには自分も立ち上がって通してやらなければならない。3人席の通路側は、窓側の人と中央席の人と2人が通路に出るときに席を立つ必要がある。それが4人席だと両側に通路があるので、隣の人が立ったときだけ自分が立てばいい。ロングフライトで3人席の通路側は10回席を立たなければならないとすれば、4人席なら半分の5回で済むことになる。
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