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旅客機の近代史──大量輸送時代の幕開けからハイテク機登場まで:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(1/4 ページ)
大型機の登場で空の長距離移動が一般化してから半世紀以上が経過した。ジェット化で大量輸送時代の幕を開けた1950年代以降と、ハイテク機が登場する1990年代から現在までの2つの時期に分けて、駆け足で歴史を振り返る。
大型機の登場で空の長距離移動が一般化してから、すでに半世紀以上が経過した。この間、メーカー各社が送り出す旅客機も大きく進化を遂げている。プロペラ機からジェット機に移行した1950年代以降と、ハイテクを駆使した次世代機が登場する1990年代から現在までの2つの時期に分けて、旅客機の近代史を駆け足で振り返ってみたい(写真撮影:チャーリィ古庄)。
大型ワイドボディ機が大量輸送時代をリード
初代ジェット旅客機の代表格である4発機ボーイング707やダグラスDC-8が飛び始めた1950年代、個性的スタイルの727や双発ジェット機DC-9が日本の高度経済成長の牽引役となった1960年代を経て、1970年代は大型ワイドボディ機が主流に。ボーイング747をはじめマクドネル・ダグラスDC-10、ロッキードL-1011、さらに欧州から新規参入したエアバスのA300などが相次いで誕生する。1970年代は空の大量輸送時代が幕を開けた10年だった。
1980年代に入ると、ボーイングは727の後継機として767を、エアバスもA310やA300-600Rなど座席数が180〜260席クラスの中型機を市場に投入。ボーイングは1980年代後半に767のボディを延長した767-300をラインアップに加え、これは現在もなお生産が続いている。ちなみに767-300のローンチカスタマーはJALだった。
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