「航空ベンチャー」ではあっても「LCC」ではない──スカイマーク 西久保愼一社長に聞く:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(1/3 ページ)
スカイマークは2014年3月、プレミアムシートのみを搭載したエアバスA330-300を羽田−福岡などの国内幹線に導入する。同社を率いる西久保愼一社長に、その戦略と今後のプランなどを聞いた。
スカイマークは2014年3月、プレミアムシートのみを搭載したエアバスA330-300を羽田−福岡などの国内幹線に投入する。双通路の中型機A330の導入は、国内エアラインでは初めて。就航に先駆け、2013年12月には南仏トゥールーズのエアバス本社でその1号機が披露された。2014年後半には、オール2階建て超大型機A380の受領と成田−ニューヨーク線の開設も控えている。同社を率いる西久保愼一社長に、その戦略と今後のプランなどを聞いた(以下、敬称略)。
低運賃競争からクオリティ競争へ
──例えば、「運航コストを削減するため、運航する機材(航空機)を1機種に絞る」。それがLCCの常道だと言われてきましたね。スカイマークもかつて使っていた中型機ボーイング767を手放して2009年9月以降は小型機737-800だけで機材を統一し、オペレーションをシンプルにすることで収益力を改善してきました。なのになぜ今回、再び中型機を導入するのか? 集まった記者団からは案の定、そんな質問が出ていましたね。
西久保: ええ、予想どおり(笑)。うちは「航空ベンチャー」ではあっても「LCC」ではない。いつもそうお話ししてきたのですが。私たちは、単に1つのストーリーを進めているだけなんですよ。
──といいますと?
西久保: “低運賃の提供”というのは、もちろん最初の目標でした。そしてそれを維持できる体制が整えば、次は当然、クオリティの改善が目標になります。回転寿司でもカラオケボックスでもそうですが、どんな業界でもまずは安いものに利用者が殺到するでしょう。それが過当競争になると、次の段階ではクオリティを改善したところだけが生き残っていくようになります。
──2013年3月から羽田−福岡線に導入するA330-300は、西久保さんの言う「クオリティ改善」の象徴なわけですね。
西久保: 通常のエコノミーシートなら440席程度を設置できるA330-300のキャビンを、スカイマークは豪華なプレミアムシートのみのわずか271席でレイアウトしました。「グリーンシート」と名付けたこのシートは、従来のエコノミーシートに比べてシートピッチ(座席の前後間隔)を7インチ(約17.8センチ)広げています。
関連記事
- 世界最大のオール2階建て旅客機、エアバスA380を解剖する
2007年10月にシンガポール航空のシンガポール/シドニー線でデビューを果たしたエアバスのオール2階建て旅客機A380の、世界へのネットワークが広がっている。「空飛ぶ豪華ホテル」の異名をもつこの巨人機は、どんな発想から生まれ、旅の可能性をどう広げたのか? - これがファーストクラスの最高峰、エミレーツ航空の「プライベートスイート」だ
贅沢の粋をきわめたエアライン各社のファーストクラスのなかでも、エミレーツ航空がオール2階建て機エアバスA380に設置した個室キャビン「プライベートスイート」はとにかくスゴい! 成田からドバイへのEK319便で体験した、極上の空のもてなしをレポートする。 - “最強”の呼び声も高いシンガポール航空のビジネスクラス
エアライン人気ランキングで常にトップ3の一角を占めてきたシンガポール航空。なかでも長距離用機材に搭載しているビジネスクラスは「最強」と評価する人が少なくない。エアバスA380で運航する成田からシンガポールへのSQ011便で、極上のフライトを体験した。 - 「全席通路側」がビジネスクラスの最新トレンド
エアライン各社はここ数年、ビジネスクラスの革新を進めてきた。従来のファーストクラスをしのぐ豪華シートも登場している。その最新トレンドは、ズバリ「全席通路側」だ。 - 機内で入国審査? ガルーダ・インドネシア航空搭乗記
成田、羽田、関西の3空港から首都ジャカルタとバリ島のデンパサールへ、週28便を運航するガルーダ・インドネシア航空。日本からの路線では、実にユニークなサービスを展開する。そのサービスを実体験するため、成田からジャカルタへ飛んだ。 - 「秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話」バックナンバー
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.