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「全席通路側」がビジネスクラスの最新トレンド秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(1/3 ページ)

エアライン各社はここ数年、ビジネスクラスの革新を進めてきた。従来のファーストクラスをしのぐ豪華シートも登場している。その最新トレンドは、ズバリ「全席通路側」だ。

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 大手エアライン各社はここ数年、ハイエンド層をターゲットにビジネスクラスの革新を進めてきた。従来のファーストクラスをしのぐ、あっと驚くような豪華シートも登場している。かつてファーストを利用していた人たちが「ビジネスで十分」と、クラスをシフトするケースも見られ、需要減からファーストクラスを廃止するエアラインも出てきた。各社の最先端をいくビジネスクラス──そのトレンドは、ズバリ「全席通路側」である。

飛行機と空と旅
2013年10月に成田で公開されたシンガポール航空の新ビジネスクラスシート(撮影:倉谷清文)

各席からダイレクトに通路へアクセス

 ボーイング747や777などの大型機のビジネスクラスは、2本の通路をはさんで横1列を「2-2-2」の計6席でレイアウトするのが主流だった。しかし各社ともグレードアップを進め、それぞれに個性を打ち出してきた結果、最近は横1列が「1-2-1」の計4席のみという贅沢きわまるシート配置が登場している。「1-2-1」とはつまり、全席が通路側だ。「プライバシーが守られる上に、どの席からもダイレクトに通路に出られるので、トイレなどに立つ際もとなりの乗客を気づかう必要がない」と利用者からの評価も高い。

 全席が通路側となる「1-2-1」の各列4席配置だと、設置できるシート数は当然減ってしまう。このクラス特有のゆったりした広いシートピッチ(座席の前後間隔)のままでは、従来の「2-2-2」に比べて、単純計算で3分の2しか席数を確保できない。上級クラスの需要が伸びている中で、売れるのに供給量が足りないというのでは、みすみすビジネスチャンスを逃してしまう。そこで「1-2-1」配列を導入した各社は、それぞれに独自の工夫をシート設計に採り入れることになる。

 その一つが、エア・カナダやニュージーランド航空、ヴァージンアトランティック航空などに見られる「ヘリンボーン型」というタイプ。進行方向に対してシートを斜めに配置した独特のレイアウトで、設置する席数を増やしている。キャビン全体を上から見ると魚の骨(ヘリンボーン)のように見えることから、この名で呼ばれるようになった。

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エア・カナダのヘリンボーン型ビジネスクラスシート
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ニュージーランド航空も同様な“斜め配列”のレイアウトを採用
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