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Survey:コラム 2003/12/10 02:52:00 更新

「情報メディア白書2004」から〜
電通総研が斬る! 地上デジタル放送への論点(1)

情報メディア業界にとって今年の最大のトピックス「地上波放送のデジタル化」を下敷きに、情報メディアのこれまでの歴史を参照しながら、メディアの普及「速度」について考えてみたい。

 電通総研では1994年から毎年「情報メディア白書」を刊行している。電通総研も同書の歩みと共に情報メディアの変遷をこの10年来追いかけ続けてきた。

 特に、今年は地上デジタル放送元年であることから、最新版「情報メディア白書2004」の巻頭特集では地上デジタル放送を特集し、「地上波放送のデジタル化へ向けた7つの視点」を提示している。今回から、その概要を紹介しつつ、放送のデジタル化を下敷きに情報メディア産業の今とこれからについて検証していきたい。

まず第1回目は、情報メディアの普及の「速度」について考えてみたい。

地上波放送のデジタル化

 情報メディア業界にとって今年の最大のトピックスの一つは、12月1日から東阪名 地区開始となった地上波放送のデジタル化であろう。この事業は、総額212兆円もの経済効果をもたらすことが期待されている大事業であるが、これが情報メディア業界全体にどのようなインパクトを与えるのか、大きな注目を集めている。

 総務省の発表によれば、地上波放送のデジタル化は、2011年までに完了する計画となっている。しかも、それまでに従来利用され続けてきたアナログ波の停止時期も定められており、8年の間に既存のアナログテレビをすべてデジタル対応テレビに置きかえる必要に迫られている。

 そこで、情報メディアのこれまでの歴史を参照しながら、メディアの普及「速度」について考えてみたい。

図表1

地上デジタル放送推進のための行動計画

(「ブロードバンド時代における放送の将来像に関する大臣懇談会」とりまとめ2003年4月15日を基に電通総研作成)

主要メディアの普及速度の比較

 下図は主要メディアにおける進化と競争の歴史的なパターンを示したものである。横軸は時系列、縦軸は市場におけるそのメディアの普及率を表している。それぞれに異なるメディアの利用形態を比較するのは容易ではないため、ここでは便宜上、各々のメディアについて最大普及率を100%とみなして比較している。

 この図から分かるとおり、各メディアとも普及が定着するまでには10年近い時間がかかっている。一方、一度普及の勢いがつくと猛烈な勢いで普及している点も類似した傾向を示している。最近では携帯電話とインターネットがこれに該当し、数年内に完全普及を実現しそうな勢いであるが、デジタルテレビの普及はこれに匹敵する普及速度を求められている。

図表2

日本の主要メディアの進化と競争の歴史(クリックで拡大表示)

(電通総研作成、「情報メディア白書2004」p14より)

レコード→CDに見るデジタル化の普及速度

 それでは、デジタルテレビの普及はどのようなステップを経ていくであろうか。マーケティングの議論では、いかに臨界普及量(=クリティカル・マス)を突破するかという点が注目を集めるが、デジタルテレビの普及にあたってもこのクリティカル・マスをどの程度に見積もるかが注目される。

 その点で参考となるのが、アナログレコード→CDの例であろう。なぜなら、レコードのケースでもある程度成熟したアナログのメディアを、原則として互換性のないデジタルに移行させた点で相通じるものがあるといえるからである。

 CDの普及のステップは、1982年10月の登場後、まず「アーリー・アダプター」等と呼ばれる新しもの好きが手を出し、オーディオマニア、クラシックファンが次々とCDを認め、ほぼ3年後に普及の目処がたった。そして5年後にはアナログとの逆転が確実となり、その後は一気に音楽メディアの頂点に上り詰めたのは周知のとおりである。

 

図表3

レコード→CDの移行過程(クリックで拡大表示)

(電通総研作成、「情報メディア白書2004」p15より)

「3年目」というマイルストーン

 DVDの普及過程を見ても「3年目」という数字が節目となっている。DVDプレイヤーは1996年11月の登場後業界内で期待されたほど出荷台数が伸びず苦戦したものの、3年を経過した99年以降に普及のスピードを上げていったのである 。

図表4

VTR(アナログ)とDVDプレイヤー(デジタル)の国内出荷台数

(電通総研作成、「情報メディア白書2004」p84を基に作成)

 このことからも分かるとおり、いかに付加価値の高い優れた新製品といえども一般の消費者が本格的に手を出し始めるのには3年以上を要することを示している。

 したがって、こうした普及曲線の傾向を参考にすれば、テレビにおいても3年目から5年目、つまり2006年から2008年にかけての普及状況がもっとも注目されるところとなる。もちろんテレビは買い換えサイクルが10年程度と言われている他、CDプレイヤーやDVDプレイヤー等と前提条件が大きく異なる点もあるが、この3年から5年という節目は一つの注目点となることは間違いない。

 さて、次回はこの「普及速度」からさらに踏み込んで、情報メディアの普及のステップと、棲み分けについて検証していきたい。

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関連リンク
▼OPINION:電通総研
▼電通総研「情報メディア白書2004」

[井上忠靖,電通総研]

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