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放送番組の価値を高める方法として、「番組接触機会を高めること」と「番組内容を拡充すること」が考えられる。例えば、電話回線を必ずしも必要としないがEPG(電子番組表)は番組内容、放送時間の確認に威力を発揮し、従来のテレビ視聴の重要な補完要因となる。また、視聴者参加型クイズ番組に代表される双方向番組は、視聴者の番組への関与を深めると期待される。 2番目の放送番組から独立した情報サービスとは、テレビ画面上に設定したポータル経由で電子メール、バンキング、ショッピング等のサービスを提供するもので、「テレビとインターネットの融合」などと表現される場合もある。 3つめに挙げたのは、地上波、衛星、ケーブルに次ぐ「第四の伝送路」として通信網を利用するもので、ADSLや光ファイバの普及に伴いすでに実現しつつあるサービスである。通信網を使うため上り回線がはじめから整っており、その完全双方向環境をどのように活用するかが焦点となる。 最後にオンデマンドにコンテンツを提供するPPV、VODなどの新サービスがある。映像エンターテイメントの提供という側面においてはテレビの本質に忠実なサービスと見ることもできる。 なぜヨーロッパなのか 〜デジタル放送とともに成長した双方向サービス前項に挙げた領域を検証するために今後ヨーロッパの事例を参照していく。ここで簡単になぜヨーロッパなのかという疑問を解消しておきたい。 ヨーロッパに注目する最大の理由として、デジタル放送がある。世界的に見てヨーロッパは早い時期から放送デジタル化に取り組み、国による普及格差はあるものの、総じてデジタル放送を受信する家庭は多い。 欧州主要国のデジタル放送世帯普及率(2002年末) ヨーロッパにおけるデジタル放送の主要訴求点は次の3点である。
ヨーロッパで謳われる高画質とは、日本や米国のようなハイビジョンを意味せず、画像の乱れが減少するという意味での画質向上を指す。映像信号にPAL方式を採用するヨーロッパではアナログ放送でもきれいな映像を見ることができた。そのため、特にデジタル化開始当初にHD(高精細)画質への移行がデジタル化の促進要因になるとは考えられていなかった。 むしろ視聴者にとってわかりやすいデジタル放送のメリットは多チャンネル化である。多くの国が国営放送を中心に発展してきた経緯もあり、多チャンネルに対する需要は大きい。そして多チャンネル・サービスを売りとしている有料衛星放送事業者が順次デジタル化を進めたことがヨーロッパ全体のデジタル移行に大きく貢献した(下図)。 EU15カ国のデジタル放送受信世帯(2002年末) そして3点目の双方向サービスは視聴者のテレビ番組の楽しみ方を変えるものとして必ず示されるメリットである。当然ながらここには双方向サービス領域の開拓が新たな収益源をもたらすのでは、という放送事業者の期待感も反映されている。 さらにヨーロッパ独特の状況として、テレビの双方向化には政策的関心が高いことを付け加えておく。ヨーロッパは全域として高度情報化社会の実現を目指しているものの、パソコン所有率、インターネット利用率、ブロードバンド普及などの面で米国やアジアに遅れをとっているのが現実である。そこで多くの国は、家庭内情報ゲートウェイ機能をパソコンではなく、ほぼ全世帯に普及しているテレビに求めようとした。 個人が家庭内で必要に応じてオンデマンドに情報を引き出すためにはテレビの双方向性が重要となる。建前的に聞こえるきらいはあるにせよ、欧州委員会をはじめヨーロッパ諸国がデジタルテレビの双方向性に対する期待をしばしば表明するのはそのためである。 またヨーロッパではテレテキスト(文字情報)サービスが普及している。「レゴ・ブロック」と揶揄される劣悪な画面表示にも関わらず、このサービスが長年に渡り利用され続けている。この事実から、リモコンを操作してテレビ画面から天気予報やスポーツ結果速報などの情報を取得する行為が生活の一部として定着していると見ることもできる。 ヨーロッパ放送界の双方向サービスの取り組みヨーロッパでは上に挙げた領域を組み合わせた形でテレビ画面上で双方向サービスが提供されている。次回より具体的に事例を引用しつつ各領域におけるサービスを検証し、テレビに双方向機能を与える意味合いを考えたい。 Copyright (c) 2003 DENTSU INC. All Rights Reserved.関連リンク OPINION:電通総研 [森下真理子,電通総研] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. サーベイチャンネルは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、ソフトバンク・アイティメディアの他、サーベイチャンネルコーディネータ、及び本記事執筆会社に提供されます。
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