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» 2006年10月30日 13時30分 UPDATE

議事録ドリブンで会議の効率アップ:第2回 会議が終わったときに議事録は完成してますか?

会議が抱えている多くの問題──。第1回で分析したさまざまな問題を、どうしたらいいのか。解決法の1つが、今回説明する「議事録ドリブン」です。

[鈴木健,ITmedia]

 前回の記事では、「会議が迷走する」「会議が決まらない」「会議で決まったことが実行されない」「会議が長い」の四重苦のスパイラルが、多くの会議が共通に抱えている問題だと分析しました。

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 なぜ会議の生産性を上げたいのでしょうか。もう一度、胸に手をあてて考え直してください。それは、あなたのプロジェクトが何か素晴らしいことを達成したいからに違いありません。もしそうした気持ちをあなたや、あなたのプロジェクトのメンバーが持っていないのであれば、会議の生産性を上げて短時間で会議が終わっても、結局ほかのところで無駄が発生するだけのことでしょう。経営者や管理者は会議時間が長いことを嘆きますが、問題は本当に会議の時間が長いことなのでしょうか。会議の時間を短くしたくなるほど、社員がその仕事に熱心に取り組んでいないことがより問題なのかもしれません。

 会議術によって改善できるのは、何かを達成したいと信じている人たちの気持ちが削がれないように、うまく仕事を進めていくお手伝いをすることに過ぎません。せっかく立ち上がった彼らのモチベーションが悪い会議によって下がってしまうことを防ぐことはできても、そもそものモチベーションを立ち上げるわけではありません。メンバーのモチベーションを上げるのに会議に頼る必要は必ずしもありませんが、もしもあなたが会議でそれを達成したいのであれば、大橋禅太郎著「すごい会議」などの本が参考になるかもしれません。

 先に達成しなくてはならないことは、会議の生産性を上げたいと思うほどメンバーが熱心に仕事に取り組んでいることなのです。そしてメンバーが熱心になればなるほど会議は迷走しますし、会議の問題は深刻になります。つまらないことをきっかけにした言い争いが起きるのを防ぐために、議事録ドリブン会議術で会議の生産性をアップしてみてください。

 これから紹介することになる解決策を、筆者らは究極の会議法(XM:Extreme Meeting)と名づけています。XMには15のプラクティス(実践的な方法)がありますが、今後の連載で少しずつ紹介していくことになるでしょう。そのうち最も重要なコアプラクティスが、今回紹介する議事録ドリブンです。

プラクティス1 議事録ドリブン(minute driven meetings and projects)

 議事録ドリブンとは、会議中に議事録をプロジェクタなどで投影し、みんなで議事録を協力して書きながら議事進行を共有し、会議の終了時点で議事録を完成させてしまうという方法です。

 下の写真を見てください。これが実際に議事録ドリブンで会議を行っている風景です。

ks_zu3.jpg 実際の議事録ドリブンの会議風景。全員が議事録を注視している

 全員が議事録を注視しながら会議をしていることが分かるでしょう。以下が実際に書かれた議事録です。

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議事録の例

トピック002 パンフレットの増刷手配が間に合わないかもしれない

メモ: いつも頼んでいる印刷会社が忙しく、製品パンフレットの増刷手配が間に合わないかもしれない

意見1: 別の印刷会社に発注するという手もある

結論 大阪支店から在庫を送ってもらう

ToDo: 大阪支店からパンフレットを1週間以内に1000部送ってもらう手配をする 期限:2006/11/5

確認者: 鈴木健

担当者: 幸田真生


会議が迷走しない

 リアルタイムに書き込まれる議事録を見ながら会議するので、「いま何のトピックを話しているのか」が明確になり、そのトピックから外れた発言が出にくくなります。「前の人がどんな発言をしたか」も書き込まれるので、うっかり別のことを考えていた人も議論を脱線することなく議論に戻ることができます。

 会議中、誰かの「意見」にしか過ぎない発言と全員の合意が得られた「結論」は、マークや色分けなどで分かりやすく可視化します。どこからどこまでが結論で、どこからどこまでが意見なのかが明確に分かれるので、会議が迷走しません。

会議が決まる

 「結論」の可視化によってどこまでが決まっているかが明確なので、会議が決まっていきます。結論を出すことが会議にとって重要だという意識が参加者の中に芽生えてきます。

会議で決まったことが実行される

 時に会議では、「これこれをやろう」ということが決まりますが、「いつまでに」「誰が」やるかが決まらないため、実行されないことが多々あります。議事録ドリブン会議では「いつまでに」「誰が」も必ず書くというルールなので、決まったことが実行されやすくなります。

会議が短い

 このように、スパイラルに陥る要因を1つ1つ解決することによって、会議全体の時間を短くできます。

 会議の3日後に議事録がメールに添付されて送られてきて、困ったことに誰も開かないなんて経験はないでしょうか。これでは次の会議は冒頭の1時間が議事録確認で終わってしまいます。議事録ドリブンの会議では、会議中に議事録をみんなで書いていき、会議の終わりに議事録確認をするので、そうした手間暇は一切発生しません。

 この議事録ドリブンという手法は、「会議とは議事録を共同で作成する作業である」と、会議の概念自体を再定義してしまいます。会議のアウトプットは議事録であるともいえます。極端にいえば、会議終了時点で全員が内容を確認ずみの議事録が完成していない会議は、何もしなかったのと一緒であると考えてもよいでしょう。

 議事録ドリブンでない会議では、PCや手元の資料に見入って自分の世界に入ってしまったり、議論が白熱して元々の話題を忘れてしまったりします。

ks_zu4.jpg パソコンに見入っている会議
ks_zu5.jpg 議論が白熱して脱線している会議

 会議中だけでなく、会議が終わった後も議事録ドリブンは続きます。次の会議までの間に、議事録に書かれた結論やToDo(やるべきこと)に基づいて、各メンバーはタスクをこなしていき、次の会議のアジェンダを議事録として共同で作っていくのです。こうして次の会議が始まるときには、共同で作られた未完成の議事録がある程度できあがっています。これがプロジェクトの議事録ドリブンです。そして、この未完成の議事録を完成させるのが、会議という作業なのです。

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筆者:鈴木健

国際大学GLOCOM主任研究員、サルガッソー社長。サルガッソーでは、究極の会議を実現するためのツール「Sargasso XM」を開発している。「伝播投資貨幣」という概念の通貨「PICSY」の研究・実装に取り組み、個人ブログとしてPICSY blogを運営している。IPAの未踏ソフトウェア創造事業に採択(2002年)、同年度の天才プログラマー/スーパークリエータに認定。共著書に「NAM生成」「進化経済学のフロンティア」


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