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» 2007年01月26日 22時51分 UPDATE

シリーズ「ゆるやかにつながる」(2):2つの合宿・OBII編 (1/2)

松の内も明けやらぬ2007年正月、再び伊豆半島に向かった。伊東市の山喜旅館では大手町ビジネスイノベーションインスティチュートが主催する合宿が始まりつつあった――。

[鷹木創,ITmedia]

 2007年1月5日、筆者は再び伊豆半島に向かった。今度の目的地は静岡県伊東市の山喜旅館である。山喜旅館と聞いてピンと来る人は“合宿通”かもしれない。この由緒ある木造建築の旅館は、はてなが開発合宿に使っていたことでも知られている。前回お伝えした田口さんもはてなにあやかって合宿したほどである。

st_ga01.jpg はてなも田口さんも合宿した山喜旅館。合宿の“登竜門”になりつつある
st_ga02.jpg 駅から歩いて10分ほど

OBIIとは?

 筆者が到着した5日の夕方、すでに合宿の参加者は集まりつつあった。その前に、この合宿の主催者である大手町ビジネスイノベーションインスティチュート(OBII)について説明しておく必要があるだろう。

 OBIIは、NTTに勤める社員らが中心となって設立した団体だ。設立メンバーには、本誌・達人の仕事術にも登場したブロガー・ガ島通信こと藤代裕之さんらも名を連ねる。目的は、企業に勤めるビジネスパーソンのイノベーションを手助けすること――である。

st_ga03.jpg 藤代さん

 企画から開発、営業まで、何でも自分自身で行う必要がある個人事業主とは違い、組織で働くビジネスパーソンには役割分担がある。筆者を含め、たいていのビジネスパーソンは、営業、企画、開発、サポートなどの役割を割り当てられているはずだ。その一方、たまには役割を越えたアイデアや不満などが思い浮かぶのも事実。営業担当であれば「こういう製品だったらもっと売れるのに」、開発担当であれば「この製品のいいところはここなのに。今の販売施策は違和感がある」など、心当たりがある読者もいるだろう。

 こうしたアイデアや不満が会社の中で昇華すれば、イノベーティブな会社――といえるかもしれない。だが、実際には、せっかくのアイデアが埋もれてしまうことも多い。例えば、NTTには研究開発と事業化の間に越えられない“死の谷”が存在するといわれる。いかにNTT研究所が力を注いだ研究であっても、実際のサービスやプロダクトとして予算が付くかどうかは別問題。国内でも有数の研究機関を持つNTTですら、イノベーティブなサービスであっても、事業化するには相当の社内調整が必要なのだ。

 話を戻そう。つまり、OBIIの目的はこの“死の谷”を越えるための架け橋になることだ。いいアイデアが浮かんでも実現する方法が分からずに悶々としているビジネスパーソンは少なくない。こうしたビジネスパーソン同士を結びつける場所を提供することで、新しいイノベーションを巻き起こそう、というわけだ。

 ちなみに、実はOBIIの組織化前にも藤代さんらは参加者を募って合宿を行っていた。その成果が、本誌記事でも紹介した「comatta.jp」である(2006年12月の記事参照)。だが、草の根的に個人で活動していたのでは、会社の経営陣のような「レガシーな人たち」を納得させて事業化するのは難しい。

 OBIIの設立メンバーである野崎秀吾さんは「合宿を通じて実際のサービスを作り込んでいけたら」と実績作りの重要性を語る。レガシーにも通用しなければ、“死の谷”は越えられないのだ。

st_ga04.jpg 野崎さんは「合宿を通じて実際のサービスを作り込んでいけたら」と語る

田口さんの合宿との違い

 さて、OBIIの合宿は1泊2日。参加者は運営サイドも含めて17人。初日の夕食前に集合し、翌日15時ごろまで参加者同士でディスカッションを行った。初めての合宿ということもあり、まずは主催者側が合宿の意図を説明。参加者の自己紹介が続き、それぞれがやりたいことを表明した。

st_ga05.jpg 山喜旅館のミーティングスペースを利用

 17人の参加者はもちろんNTT関係者ばかりではない。自営業、SOHOから、大手ポータルサイト、広告業界、マスコミ、通信事業者、メーカーなどさまざまだ。とある文系の参加者は「開発の最前線を体験したかった」と語る。「リタイアする団塊世代向けのサイトを作りたい」と表明する参加者もいた。大手商社に勤める参加者は「資本政策を含めて拡大していこうと思っている」と、ECサイトの責任者という背景も含めて説明した。

 田口さんの合宿と最も異なる点は、OBIIの合宿では、参加者をいくつかのグループに分けたこと。全員が開発者で、何を作るかが比較的明確だった田口さんの合宿とは異なり、OBIIの合宿では企画系の参加者も少なくない。「アイデアは出せるけど開発まではできない」という現実的な問題もある。だが、ビジネスパーソンを結びつけることを目的にしているOBIIにとってはむしろ予想していた展開だ。

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