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» 2007年02月16日 13時10分 UPDATE

シゴトハック研究所:集めた情報を「あとで」「確実に」活かす【解決編】

情報を集めるだけ集めたけど、うまく活用できていない──。誰もが一度は陥るそんな悩みを、メールソフト「Thunderbird」を使って解決する方法を教授します。

[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 今回の課題:集めた情報を「あとで」「確実に」活かすには?

 コツ:読み返さざるを得ない仕組みをつくる


 以前の記事「仕事のレパートリーを広げるには?」では、「便利そうな知識をストックしていく」という姿勢について触れました。「なるほど!」とか「これは便利そうだ!」という方法を知ったら、手元にメモしたり、ブックマークしたりしてストックしていく方法です。

 この行為自体は悪いことではないのですが、使わない知識を死蔵させることは避けたいものです。「情報を集めるコスト」は確実にかかっているわけですから、活用できなければ、収集にかけた時間が無駄になってしまうからです。せっかく「便利だ!」と思ってストックしても、うまく活かせなければ「リターンの乏しい時間投資」ということになります。これが繰り返されると、この習慣を長く続けることは難しくなるでしょう。

 良い情報に出会っても「本当に活用できるだろうか?」という迷いが生まれ、情報の“旬”を逃して腐らせてしまうことが懸念されたり、これまでに溜め込んだ“在庫”が気になったり、目の前にある良い情報に前向きになれなくなるのです。

 さらに、この「迷う」ことそのものも、それなりのエネルギーを消費する活動ですから、ますます新しい情報に向かうモチベーションを低下させてしまいます。人間には自己防衛本能がありますから、このような状況に対して、うまい言い訳を作って回避しようとするでしょう。

 例えば、

  • 今ある情報で十分だ
  • 本当に重要な情報なら誰かが教えてくれるだろう

 など、自分の判断を正当化するわけです。この結果、新しい情報の獲得という機会損失を招いてしまいます。

 このような迷いをなくすにはどうすればよいでしょうか。

迷いをなくすには

 そもそも「迷うことができる」ということは、言い換えれば「すべてを自分で決められる」ということです。いったん手元に取り込んでしまえば、その情報は逃げなくなりますから、あとは自分の都合のよい時に“料理”すればよいという状態になります。

 つまり、情報に接した瞬間は「(獲得するのは)今しかない」という一期一会だったのが、手元に取り込むことによって「(活用するのは)いつでもよい」という無期限延長が可能になるわけです。

 これは安心ではありますが、同時に「いつでもよい」は「いつまでもやらない」と紙一重だともいえます。「あとで読もう」と思ってブックマークしても、忙しい毎日の中では、その「あとで」はなかなかやってこないため、気づいたら「いつまでもやらない」ことになりがちなのです。

 対策として「今週のブックマークを振り返る」というリマインダーをメールで届くように設定するという方法が考えられますが、そのリマインダーメールすら「あとで処理しよう」という“延長申請”をしてしまうでしょう。なぜなら、締め切りがないからです。

 結局のところ「すべてを自分で決められる」という状態を変えない限りは、いつまでも後回しになる可能性があるわけです。

 一方、どんなに忙しくても何とか時間を作って行動を起こす場合があります。例えば、電車の中吊り広告などを見て、いま発売中の週刊誌に、自分にとって役に立つことが書いてありそうだと分かれば、忘れないように手帳にメモしたり、リマインダーをセットしたりするでしょう。早く買いに行かなければ、売り切れたり、次の号に差し替えられたりして、入手できなくなってしまうからです。夜中でもサンダルを突っかけてコンビニに走ることもあるかもしれません。

 一般の書籍であれば、人はここまでのことはしないものです。「入手可能な期間」が限られている雑誌に比べれば一般の書籍は「いつでも買える」からです。もちろん、雑誌も出版社にバックナンバーがあれば後から入手することは可能ですが、書店やコンビニで買うよりも手間と時間が余計にかかりますから、できれば避けたいと思うはずです。

 このように「自分の自由にならない制約」が人を行動に駆り立てるわけです。

 そこで、情報収集についても、「後回し」を封じる「自分の自由にならない制約」を設けるとようにします。つまり、

  • 集めた情報は一定期間内に必ず読み返して、何らかの処理をする
  • この処理の実行に「自分の自由にならない制約」を付ける

 ようにします。

 具体的な方法を2つご紹介します。1つは、メールソフトのThunderbirdを利用する方法、もう1つは、あらかじめ情報収集の“出口”を用意する方法です。

Thunderbirdを利用する

 Thunderbirdには、メールのフォルダごとに保管期間を設定する「保管ポリシー」という機能があります。保管ポリシーには以下の3つのオプションがあり、いずれかの条件が満たされたときに該当のメールを自動的に削除します。

shack33.gif
  1. 指定のメール数を残して古いものから削除
  2. 指定の日数以上が経過したメールを削除
  3. 既読のメールは例外なく削除

 例えば、あるフォルダについて受信後30日たったら削除するような保管ポリシーを設定しておけば、「なるほど!」と思って「あとで読む」などで“取り寄せ”ておいたメールは、30日間たつと自動的に削除されるようになるわけです。「あとで読む」から届いたメールはこのフォルダに振り分けられるようにしておけば、嫌でも定期的にこのフォルダをチェックする習慣が身につきます。

 ただし、出張が重なるなど数日間放置せざるを得ない場合もありますので、フェイルセーフとして、同じメールがGmailにも届くようにしておけば、バックアップになります。そして、Gmail側では「あとで読む」からのメールに対して、ラベルをつけるなどのフィルタは特に設定しないようにしておきます。

 こうすることで、Thunderbirdに届いていたメールが削除された場合は、Gmailを探せば一応見つけることはできるものの、検索という少し手間のかかる手続きを踏む必要が出てきます。この手間がかかることを逆に利用して、Thunderbirdに残っているうちに処理するように自分をしつけるわけです。

 ただし、この方法は、Thunderbirdをメインのメールソフトとして使っていることが前提になりますので、Gmailなどをメインに使われている方には、次の方法がよいでしょう。

あらかじめ情報収集の“出口”を用意する

 そもそも、「集めた情報を活かす」ことが先送りされる理由は、今すぐに活かさなくても特段のペナルティーがない、すなわち期限が切られていないところにあります。Thunderbirdの保管ポリシーを利用する方法は、強制的に期限を設定するというアプローチでした。

 これとは別に、情報を集める時点で、何らかのアウトプット先を用意しておくというアプローチもあります。

 例えば、筆者はいくつかのブログや連載を並行して受け持っていますが、情報収集の際には「この情報はあのブログのネタになる」といった、“出口”を明確に意識するようにしています。言い換えれば、どこにも活かせない情報であれば、新たに専用の“出口”であるブログを立てるか、諦めるか、のいずれかを選ぶことになります。

 当然、同時に追いかけることができるテーマの数には限界がありますから、自然と情報収集活動にもブレーキがかかります。これは、集めた情報を活用する上では必要なリミッターだといえます。

 もちろん、特にブログでなくても、例えば、前回ご紹介した「みんなで毎日1ハック」のネタとして集める、というのも有効な“出口”になるはずです。集めた情報を 「あとで」「確実に」活かすには、制約と出口のいずれか、もしくは両方を用意しておくとよいでしょう。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。


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