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» 2007年02月23日 01時44分 UPDATE

シゴトハック研究所:仕事の取りかかりを早くするには?【解決編】

「やる気」が起きないのは、その仕事が終わりが見えない「非現実ワーク」になっているから。これはうまく「現実ワーク」に分割し、自分を“ポジティブ”に甘やかすことで、スムーズに実行に移すことができるようになります。

[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 今回の課題:仕事の取りかかりを早くするには?

 コツ:自分を“ポジティブ”に甘やかす


 どんな仕事においても、最も難しいのは「取りかかること」です。逆にいえば、取りかかることさえできれば、あとは流れに乗って前に進むことができます。

 仕事に取りかかるのが難しい理由は、「何となく大変そう」あるいは「どこから手をつけていいのか分からない」といった言い訳でブレーキをかけてしまうからだと考えられます。そして「やる気が起きたら一気に片付けよう」という、もっともらしい判断を下しがちです。

 そして、実際に「やる気」が起きるのは締め切り間際になって、やらざるを得ない状況に陥った時であり、そうなるとますます分が悪くなってしまいます。

 そう考えると、得体の知れない「やる気」に頼るのはやめて、とにかく手を動かすことが仕事に取りかかるための一番の近道、ということになります。

取りかかる「きっかけ」を決めておく

 仕事に取りかかることができた時というのは、「やる気」が起きたからというより、実際に手を動かし始めたから、ということが少なくないでしょう。最初は冷たいと思ったプールも泳いでいるうちに慣れてきて、むしろ気持ちよく感じられるようになるのと同じように、仕事もとにかく手をつけてしまえば、「仕事をする」という状況に体が馴染んでいき、気づいたら仕事に没頭できるものです。

 これは、「作業興奮」と呼ばれる脳の現象によって説明ができます。迷いを振り払って、まずは体を動かしてしまうことで、それまでためらっていた脳が少し遅れて活動を始めるわけです。

 それでも、「初動」には何らかの「きっかけ」が必要です。例えば、朝目が覚めても、なかなかベッドから離れられないという人は少なくないでしょう。筆者の場合は、自分で5秒間のカウントダウンを行うようにしています。「5、4、3、2、1……」と唱えていき、「ゼロ!」とともにベッドから抜け出すのです。カウントダウンをすることとベッドから抜け出すこととは直接の結びつきはありませんが、カウントダウンが始まると何となく動き出さなければならないような気がしてきて、反射的に体が準備を始めるのです。

 とはいえ、このような「きっかけ」があったとしても、動き出せない場合があります。

「現実ワーク」と「非現実ワーク」

 仕事には、見ただけで憂鬱になるような「なかなか手をつけられない仕事」もあれば、目にした途端に「すぐにやり終えてしまいたくなる仕事」もあるでしょう。

 まず、「なかなか手をつけられない仕事」には、終わりがはっきり見えないという特徴があります。それゆえ、「何となく大変そう」あるいは「どこから手をつけていいのか分からない」といった懸念がブレーキになってしまうのです。ほかにも以下のような特徴があります。

  1. 始めてから終わるまでに長い時間がかかる(引っ越し、部屋の整理)
  2. 「本番」は一瞬だが、それまでの「準備」が長い(プレゼンをする)
  3. 現状と外部環境の変化に大きく左右される(プロジェクトを成功させる)

 いずれも、終わりがはっきり見えないことに加えて、一度始めると、簡単にはやめられないという側面もあり、それが取りかかりを妨げていると考えられます。

 一方、「すぐにやり終えてしまいたくなる仕事」はどうでしょうか。こちらは、逆に終わりが見えているものです。それゆえ、「さっさとやっつけてしまおう」という気持ちになりやすいわけです。先ほどと同じように特徴を挙げてみます。

  1. 物が減ったりなくなったりする(机の上を整理する、要らない服を捨てる)
  2. 明確なアウトプットが定義できる(交通費の精算をする)

 いずれもすぐに取りかかることができて、自分が行動した結果が出るのも早いという共通点があります。

 ここで、前者を「非現実ワーク」、後者を「現実ワーク」と呼ぶことにします。つまり、なかなか取りかかれない「非現実ワーク」と、すぐに取りかかることができる「現実ワーク」という分け方です。

 このように分けてみると、仕事の取りかかりを早くするためには、「非現実ワーク」を「現実ワーク」に変換すればいいという考え方が導き出せます。

 具体的な手順は以下の通りです。

  1. 最終的なゴールを確認する
  2. ゴールまでの行程をいくつかのパートに分ける
  3. それぞれのパートごとに目に見える成果物を決める
  4. その成果物を作るための具体的なアクションを決める
  5. 4のアクションが「現実ワーク」になっているか確認する(なっていなければ「現実ワーク」になるまで分けていく)
  6. 1つのアクションが次のアクションの準備になるようにする
  7. 各アクションをスケジュールに割り当てていく
  8. スケジュールに従って、淡々とアクションをこなしていく

 この中で、留意すべきは5番目のアクションを「現実ワーク」になるまで分けていくというステップです。ここがうまくいけば、途中でつまずくことなく仕事を進めることができるはずです。

自分に対する「ポジティブな甘やかし」

 以上をまとめると、仕事とは、小さな「現実ワーク」を1つ1つ積み重ねていくことと捉えることができます。この積み重ねが「非現実ワーク」として結実するわけです。

 遠くにある「非現実ワーク」を目指しながらも、実際にやっていることは目の前の「現実ワーク」を淡々とこなすことであり、その結果「気がついたら終わっている」という状態を作ることになります。

 また、先ほど「一度始めると、簡単にはやめられない」ことも取りかかりを妨げている、と書きましたが、この対策としては、「終わらせなくてもよい」ことにしてしまうことです。その上で、

  • 今日中に完成させなくてもよい
  • 明日以降に続きをすればよい
  • 従って、今日は明日に完成させるための準備をするだけでよい

 といった、終わらせなくてもよい代わりに軽い「現実ワーク」を課すようにします。これは、「終わらせなければならない」という姿勢に比べれば、自分を甘やかしていることになるのですが、そうすることによって、気持ちが楽になります。いってみれば、「仕方がないから」という後ろ向きの甘やかしではなく、「その方が仕事が楽になるから」という意図的かつポジティブな甘やかしです。

 そうした上で翌日を迎えると、すでに、ある程度準備が進んでいますから、挟んでおいた栞を目印に本の続きを読み始めるように、仕事にもスムーズに取りかかることができるでしょう。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。


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