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» 2007年03月28日 15時00分 UPDATE

デジタルワークスタイルの視点:プロジェクト管理ソフトの「3つの落とし穴」

プロジェクトの進捗管理や計画の見直したに役に立つのがプロジェクト管理ソフト。その一方で、「使い方がよく分からない」「成果が上がらなかった」という利用者の声も聞きます。プロジェクト管理ソフトの“落とし穴”はどこに潜んでいるのでしょうか。

[徳力基彦,ITmedia]

 プロジェクトの進捗を把握したり、計画を見直したりする上で、上手く使うと役に立つのがプロジェクト管理ソフト。ですが、海外に比べて日本ではプロジェクトマネジメントという考え方が敷居が高く捉えられているせいか、プロジェクト管理ソフトを使っている企業がまだまだ少ないのが現状――と言われています。

 それに、「一度プロジェクト管理ソフトを使ってみたけれど、使い方がよく分からなかった」「メンバーが使ってくれなくて、上手く成果が上がらなかった」といった話もよくあります。

 そこで今回は、なぜプロジェクト管理ソフト導入が失敗しやすいのか、プロジェクト管理ソフト導入の失敗例を参考に考えてみたいと思います。

デジタルワークスタイルの視点・プロジェクトマネジメント編
No. タイトル
1 “1人プロジェクトマネジメント”に取り組んでみよう
2 プロジェクトが“簡単に頓挫する”3つの要素
3 管理を完璧にしようとすればするほど、プロジェクトは失敗する
4 失敗しないプロジェクトマネジメント――Appleやはてな、Googleに学ぶ3つのヒント
5 ちょっとだけ、失敗しないプロジェクトに近づくための3つのヒント

プロジェクト管理ソフトの3つの落とし穴

  • プロジェクトマネージャーの自己満足に終わる
  • プロジェクトの最初しか使わない
  • メンバーの作業効率化の役に立たない

プロジェクトマネージャーの自己満足に終わる

 プロジェクト管理ソフトの代表的な成果物としてあげられるのが「ガントチャート」でしょう。プロジェクトに関わる複数の作業をガントチャートにプロットしてみることで、スケジュールの全体像を視覚的に把握できます。プロジェクト計画時には特に重要なツールであると言えそうです。

 ここでありがちなのが、プロジェクトマネージャーが作成したガントチャートを、メンバーがそのまま理解するのは意外に大変という点です。あまりにガントチャートが複雑になると、作成した本人は満足していても、それを元に作業をする側からすると複雑すぎて役に立たなくなったり、自分の担当の作業がどれか分からなくなってしまったりすることが往々にして存在するのです。

 いくら高価なプロジェクト管理ソフトで、立派なガントチャートを作成しても、メンバーに浸透しなければ結局個別に進捗管理する羽目になります。自分の管理を楽にするためだけではなく、メンバーに理解してもらうために、プロジェクト管理ソフトを利用するという姿勢が重要だといえるでしょう。

プロジェクトの最初しか使わない

 プロジェクトマネージャーの自己満足と同じように、良くある失敗例がプロジェクト管理ソフトを「プロジェクトの計画時にしか利用しない」というパターンです。

 最初にプロジェクト管理ソフトで完璧な計画が作成してあるので、あとはそれに沿ってメンバーに作業をしてもらえばプロジェクトは上手くいく、と考えている人でよくあるパターンといえるでしょう。以前紹介したように、変化が激しいプロジェクトでは当初の予定が大幅に変わることも、残念ながらよくあることなのです(2月21日の記事参照)。

 プロジェクトも佳境に入ってくると、プロジェクトマネージャー自身も自分の作業で忙しく、プロジェクトの進捗管理や計画のメンテナンスに時間をかけるぐらいなら、自分の作業に時間をかけたいという状況になりがち。その結果、プロジェクトの終盤で、プロジェクト管理ソフトを利用するのが面倒になるというのがよくあるようです。

 せっかくプロジェクト管理ソフトを使うのであれば、プロジェクト全体をそのソフトで確認することを前提に考えるといいかもしれません。

メンバーの作業効率化の役に立たない

 最近は、プロジェクトの進捗状況をプロジェクトメンバーで共有できるプロジェクト管理システムも増えていますが、この手のプロジェクト管理システムで良くある落とし穴が、メンバーが入力してくれないというパターンです。

 特に、プロジェクト管理専用のシステムを導入した場合、一般的にはメンバーはそのプロジェクト管理システムにログインするという行為が必要になります。このログインが必要というのが、意外なほどシステムの有効活用に水を差します。せっかくのシステムも、利用者に使ってもらわなければ意味がないわけですから、導入したプロジェクト管理システムが、すでに導入済みのグループウェアや社内システムと別の場合には、特に注意が必要です。

 それまでメンバーはこのシステムなしで業務を回していたわけで、プロジェクト管理システム抜きで作業をすることに慣れています。得てしてプロジェクト管理システムへの入力作業が、メンバーに報告業務をさせているだけになりかねません。単なる報告だけでは実作業は進みませんから、実作業が忙しければ忙しいほど、各メンバーはシステムの入力を後回しにするようになるのです。

 入力が後回しにされるということは、せっかくプロジェクト管理システムで進捗状況を共有していても、そこに正しい情報が反映されません。結局、プロジェクトマネージャーもシステムに入力されている情報が信じられなくなり、プロジェクト管理システムが正しく利用されなくなるという悪循環に陥ってしまうわけです。

 この状況は何もプロジェクト管理システムだけでなく、グループウェアやイントラネットなど企業の社内システムでは必ず発生する問題ですが、プロジェクト管理においては、プロジェクト管理システムの使い勝手が悪いと、個々の作業効率に直接影響が出てしまうため、余計にメンバーに敬遠されやすいようです。メンバーの作業効率を考えた仕組みづくりが重要といえるでしょう。


 どんなシステムでも同じですが、プロジェクト管理ソフトを買えば、それだけで急にプロジェクトマネジメントが上手くいくようになる、なんて都合のいい話はなかなかありません。プロジェクト管理ソフトを導入するのなら、プロジェクトの特性やシステムでカバーすべきポイントを熟慮すべきでしょう。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

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NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com


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