インタビュー
» 2007年04月02日 12時22分 UPDATE

田口元の「ひとりで作るネットサービス」探訪:行動力だけで生きるエンジニアの“上京物語”――はてブTV・あきやんさん (1/2)

あきやんこと秋田真宏さんは、石川県で育ったゲーム作りが大好きな少年だった。彼を動かすのは自分の作ったプログラムが周りの人に注目され、喜ばれること。プログラマーとして地元で就職したが、ブログを通じて東京にはすごい技術者がたくさんいることを知り、会社を説得して東京への転勤に成功した。

[田口元,ITmedia]

 「これを読んでいると、まだまだできることはあるな、と思います。僕のバイブルです」。あきやんさんがそういって見せてくれたのは「ハッカーと画家」という本。ページを開くたびに技術の可能性にワクワクするという。はてなブックマークで人気のサイトをテレビのチャンネルを切り替えるように次々と見せてくれる「はてブTV」をはじめ、1人でさまざまなサービスをリリースするあきやんさんにエンジニアとして目指すものを聞いた。

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「行動力だけで生きている」――だから、なんとかして東京に

yy_akiyan02.jpg あきやんさんの愛読書「ハッカーと画家」

 「僕、あきやんって言います」「おー、あきやんさんか。君、いいよね」「えっ、僕のことを知っているんですか?」

 2005 年末、東京出張に来ていたあきやんこと秋田真宏さんは異業種交流イベント「無敵会議」に出席していた。イベント中に名刺交換をしたのは、ブログ「最速インターフェース研究会」を運営するma.laさん。ずっと前から読んでいたブログで、 ma.laさんを技術者として尊敬していた。そのma.laさんが自分の名前を知っていたことが驚きだった。

 その日は、はてなの secondlifeさんなど、自分がずっとブログを読んでいた人がたくさんいた。「東京はすごい。いままで遠い存在だと思っていた人と話ができる。なんとかして東京に来なくちゃだめだ」。強くそう思った。当時の彼は石川県に住み、IT系企業に勤めるエンジニアだった。

 自分が勤める会社には東京支社がある。なんとか転勤を実現したいと考え、さまざまな交渉をした。一時は「会社を辞めなくてはだめかな」とも考えたが、最終的には昔から一緒に仕事をしていた上司に引っ張ってもらう形で上京が実現した。

 「僕は行動力だけで生きています(笑)。良いと思ったら即行動、がモットーです」。25歳のあきやんさんは、今では東京支社のエンジニアチームを束ねるリーダーとして活躍している。

最初のプログラミングはポケコンの“学校ゲーム”

 コンピュータと出会ったのは小学校6年生のとき。最初に触ったのはPCではなく、「ポケットコンピュータ」略して「ポケコン」と呼ばれる小型のコンピュータだった。工業高校に通っていた兄からもらったものだ。「とにかく楽しくて。まずはゲームをたくさん作りました」。ポケコンはPCと違って小さなディスプレイでゲームを展開するしかない。テキストを使ったシミュレーションゲームを作ることにした。学生らしく、学校のゲームを作った。教師が問題を出して生徒を育てていくゲームだ。

 「ゲームができたらすぐに友達に見せました。そうしたら、めちゃくちゃハマってくれました。僕のポケコンがクラスで取り合いになったときは本当にうれしかったです」。人から注目を集める快感を覚え、どんどんゲーム作りに熱中していった。

 とにかくゲームが好きだった。ただ、あきやんさんが住んでいた地域にはゲーム店は少なかった。「あまりに田舎だったので、2軒ぐらいしかゲーム店がなかったのです」。いつしかあきやんさんはその数少ないゲーム店に入りびたるようになる。毎日学校が終わると、数時間はゲーム店の店長と話し込んでいた。

 ある日、ゲーム店の店長は思わぬプレゼントをくれた。「ゲームが好きなんだろ?」と、あきやんさんに80年代後半に流行していたパソコン「MSX2+」を渡した。店長が友達からもらい受けたものだった。MSX2+は、ポケコンとは比べものにならないほどできることが多い。一心不乱にマニュアルを読み込んでプログラミングを理解し、またゲームを作った。

 作ったのは当時流行っていたゲーム「かまいたちの夜」のパロディ。作ったゲームはすぐに友達に遊んでもらった。これも「すごい、すごい!」と大人気。友達にそう言ってもらえるのがとにかく楽しくて「もっとMSXでゲームを作りたい」と思った。

 しかし、MSXでゲームを作っている人は近くにいない。「もっと情報交換がしたい。仲間が欲しい」そう思ったあきやんさんはMSXの雑誌「MSX FAN」で大学生がはじめたコンピュータサークルが近くにあることを知る。「当時メールはなかったので、すぐに手紙を出しました」

 「僕が作ったプログラムをディスクで同封しました。一緒にプログラムを作らせてくれませんか」。このあたりにもあきやんさんの行動力と積極性が表れている。中学生から届いたこの手紙に大学生は驚きながらも、快く仲間に入れてくれた。大学生との情報交換で、プログラミングのスキルはめきめき上達する。その頃から「NV」というMSXのディスクマガジンにプログラムも投稿するようになった。ゲーム以外にもペイントソフトやテキストビューアーを作った。

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