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» 2007年04月24日 20時05分 UPDATE

新聞対Webメディア対ブログ――新旧メディアの長所と短所とは?

新聞、オンラインニュース、ブログ――。毎月都内で開催される参加型イベント「RTCカンファレンス」で、新旧メディアのあり方を議論した。

[鷹木創,ITmedia]

 「新聞はなくなる?」「オンラインニュースのミッションとは?」「ブログはメディアになれる?」――。4月23日、毎月都内で開催される参加型イベント「RTCカンファレンス」で新旧メディアのあり方を議論した。パネリストは、「NIKKEI NET」を運営する日経新聞デジタルメディアで記者として記事を執筆編集する重森泰平氏、アイティメディアの「Business Media 誠」の吉岡綾乃編集長、ビジネスニュースコミュニティ「FPN」の主宰でブロガーの徳力基彦氏の3人だ。

ブログで儲けるのは難しい

st_rt01.jpg FPNの徳力さん

 「みなさんブログやってますか?」。FPNの徳力氏の問いかけに、会場に詰め掛けた100人ほどの参加者のうち約半数が手を挙げた。徳力氏は続けて、「自分のブログがメディアだと思いますか?」とも質問。こちらは一転、会場からの反応はなかった。

 「これがソーシャルメディアといわれるブログの長所と限界なんです」と徳力氏。「ブログを始めるのはたやすいが、始めたブログをメディア化するのは難しい」という。ブログには3段階あるというのが徳力氏の持論だ。まず、自分のためのメモなどから始める極めてパーソナルな段階。続いて、少人数の読者と仲間感覚でコミュニケーションする段階。最後が1日1500ページビュー以上稼ぐメディアの段階だ。

 特に難しいのが、コミュニケーションからメディアに移る段階である。知り合いや近しい読者10人ぐらいに向けて書いているときであれば、読み手も書き手を知っているため、記事に問題があったとしてもそれほど大きな問題にはならない。ある種、読み手と書き手の間に信頼があるわけだ。しかし、そんなブログに2ちゃんねるなどからリンクを張られて、書き手と知り合いでない不特定多数が見にくると炎上する可能性もある。「オレの言っていること分かるでしょ? が通じなくなる」(徳力氏)のである。

 たとえメディア化に成功したとしても、ビジネスとしてのブログは簡単ではない。徳力氏によれば「米国と比べると広告単価はひと桁もふた桁も違う」という。「ブログで儲けるのは難しい。だが、ブログで儲けようとしない人には有力なツールになる」。つまり、別に本業があってその宣伝や広報活動にブログを利用することなどは効果的なのだ。「既存のメディアビジネスとは異なる見方をしたほうがいい」という。

新聞の編集技術、オンラインニュースの速報性

 一方、新聞はどうか。NIKKEI NETの重森氏は、新聞という紙媒体の今後には危機感を持っている。というのも「新聞の読者層はオンライン媒体に比べて年齢層が高い」からだ。新聞を読み続けてきた団塊世代が退職するのを機に「明日から日経を読まなくてもいい」となると、どうしても売り上げは減少せざるえない。

 とはいえ、新聞には高い編集技術もある。例えば見出しの付け方だ。思わせぶりなタイトルでクリックを誘うことを“釣り”と呼んだりする。日経新聞ではこうした“釣り”は行わないという。「わざわざ本文を読まなくては分からない見出しより、ベタでも見出しだけで分かるほうが時間の節約。ビジネスの生産性も高まる。そのためにお金を払ってもらっている」(重森氏)。つまり、日経新聞における最高の見出しは、見出しを見ただけで記事の内容が分かるというものだ。だから、最後に「?」を付けるようなあやふやな見出しはNG。こうした点はメディアの信頼性にもつながるとも考えている。

 だがオンラインメディアでは、こうした日経式の見出しが不利に働く。現時点では、ページビューを増やすことが売上に直結するオンラインメディアでは、「分かりやすい」だけではクリック数を稼げない。分かりやすさとともに「思わずクリックしたくなる表現」が重要だ。NIKKEI NETではそんなオンライン向けの見出しを検証し始めたところ。重森氏は「ノウハウがたまっているわけではない。ブログやオンラインメディアのタイトルは、面白そうだなと思わず押しちゃう」と素直に明かした。

 紙媒体を追いかけるオンラインニュースの立ち位置はどこにあるのか。Business Media 誠の吉岡編集長はWebメディアの強みをこう語る。「まず速報性。例えば、携帯電話の新機種が出たら、発表会開始から10分前後で記事になる。また、文字数の制限がなく、いくらでも詳しく書けることや、記事を蓄積できることも長所だ」。

 「オンラインニュースサイトは、インターネット技術の発展とともに歩んできた。ナローバンド時代は画像サイズも小さめだったが、ブロードバンド時代に入ってからは大きな画像だけでなく、動画なども掲載するようになった。『誠』ではトラックバック機能を備え、ブログからの反応を受け止める。ソーシャルニュースサイトのnewsingとも連携して記事に対して読者が投票できるようになった。もちろん投票結果も反映する。今後はオンライン媒体ならではのメディア像を確立することがミッションだ」(吉岡編集長)

st_rt02.jpgst_rt03.jpg NIKKEI NETの重森氏(左)とBusiness Media 誠の吉岡編集長(右)

もっとブログに“構って”

 三者三様の新旧メディアだが、当面は「紙もオンラインも共存する」というのが3人の見方。重森氏は「これからのメディアにはコミュニケーションが必要。ブロガーに記事を書いてもらうようなことも積極的に取り組みたい」とコメント。吉岡編集長は「これまでのオンラインメディアは趣味に偏っていたり、テクノロジーに強かった。新しく始めた『誠』では新聞を読まなくなった世代に、ニュース+αを提供していく」とアピール。徳力氏は「普通の人たちもブログを書くようになった。書き続けられるようにメディアも構って」と、メディアの側からリンクを張るなどして一般ブログとも“交流”してほしいと呼びかけた。

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