連載
» 2007年06月15日 12時33分 UPDATE

シゴトハック研究所:実践!シゴトハック:自分で立てた予定を守る(2)【解決編】

チームメイトと予定を共有する「ペアスケジューリング」のポイントは、「予定だけでなく実績のカレンダーも作る」ことです。こうしてお互いの予定と実績を見せ合う効果を考察します。

[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 ペアを組んで仕事をする上で注意すべきことは?

 コツ:お互いの予定と実績を見せ合う


 前回は、一緒に仕事をしているチームメイトの1人とペアを組んで、お互いの作業予定に“ツッコミ”を入れ合うことで、予定に埋もれている“地雷”を早期発見し、除去することができる、という話を書きました(6月8日の記事参照)。

 お互いの予定を見せ合うためのツールとしては、Googleカレンダーを使うのですが、予定はあくまでも予定ですから、実際にどのように仕事が進んだのか、その経過や結果を知るためには、別の工夫が必要になります。

「予定」とは別に「実績」のカレンダーを作る

 具体的には、予定を登録する「予定のカレンダー」とは別に「実績のカレンダー」を作り、このカレンダーについてもペアでシェアするようにします。筆者の場合は、共同で執筆の仕事をしている佐々木正悟氏とともに「予定」と「実績」のシェアをしています。

 次の図の「□大橋の予定」という緑のカレンダーが「予定のカレンダー」であり、朝の時点でお互いにそれぞれの「予定のカレンダー」を登録した状態で仕事を始めます。そして、仕事を片づけながら「実績のカレンダー」である「■大橋の実績」という青いカレンダーに実績を書き加えていくようにします。

ks_shack1.png
ks_shack2.png

 こうすることで、仕事が予定通りに着手できているのか、あるいは予定した時間内に収まっているのかが一目で分かります。

 また、どうしてもその日には手をつけられそうもないと判断したタスクについては、「予定のカレンダー」から「落とし物のカレンダー」に移すようにします(予定の詳細編集画面でカレンダーを変更する)。図では「!大橋の落とし物」という赤いカレンダーがこれに該当します。

 別のカレンダーに移すことによって、それ以外の「予定」タスクの残量を容易に把握できるようにし、これらを死守できるようにするわけです。当然、このような「未達成タスク」が生じていることは相方にも「丸見え」になっていますから、何としてもこれ以上“失態”を見せなくても済むように、良い意味でムキになれるでしょう。

 佐々木氏は「佐々木の積み残し」という名前で登録していますが、これも「落とし物のカレンダー」です。

午後一番にミーティングを開く

 多くのプロジェクトでは、朝に定例ミーティングを開いて、進捗と予定の確認を行っているでしょう。でも、このミーティングの欠点をあえて挙げるとすれば、ミーティングを何とか乗り切ることができれば、あとは自分の裁量で仕事を進めることができてしまう、という点です。

 これは極端な例ですが、次のようなケースです。あるメンバーが「昨日の遅れは今日がんばって取り返します」と発言した場合、この報告を受けたリーダーとしては「本当に取り返せるのか?」と不安を覚えるでしょう。でも、それ以上のツッコミはしづらいところです。あえて「具体的にどうがんばるの?」と問うこともできますが、時間がかかりますし、口達者なメンバーであれば、言葉で繕うことはできてしまうからです。

 チームの一員として求められることは、「言葉で語られる見通し」ではなく「手で触れることができる結果」ですから、ここで時間をかけて納得のいく見通しを引き出せたとしても、あまり意味がないのです。

 そこで、筆者たちは日々の進捗確認ミーティングを午後一番に実施しています。お互いに離れた場所で仕事をしているため、ミーティングはSkype通話で行うのですが、同じGoogleカレンダーの画面を見ながら進めます。確認するのは、前日および当日午前中の作業実績と当日午後の作業見通しです。ミーティングの詳細については次回に譲りますが、ランチ後の時間帯にミーティングを行うことによって、集中力が途切れがちな午後の時間を前に、体勢の立て直しができるという効果を実感しています。

 午後一番にミーティングを行うもう1つのメリットは、その時点であれば、ある程度その日の「白黒」がつきつつあるでしょうから、より踏み込んだ具体的な議論ができることです。つまり、途中経過であるために、すでに「火」がついていれば「消化対策」について話し合えますし、順調であれば「いい感じですね」と言い合えます。

ペアプログラミングに倣う

 システム開発の仕事をしている人であれば、「ペアプログラミング」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。簡単に言えば、ペアで1つのプログラムを作るという方法論で、同じプログラムを2人の目で確認しながら作っていくため、2人のスキルと注意力を結集することができる、という利点があります。

 例えば、ペアの1人がプログラムコードを書き始めると、相方から「そこは、こういう風に書いた方がいい」といったアドバイスがもらえたり、あるいは書き始める前に相方に「○○と同じような動きになるように書きたいんだけど、いい方法はあるかな?」と質問をしたりできます。

 一度完成させてしまってから、相方から「そこは、こういう風に書いた方が良かったのに…」と言われたり、やり方がわからずに思い悩んだあとに「だったら、まず聞いてくれたら良かったのに…」と言われたりしたのでは、作り直す時間や思い悩んだ時間が無駄になりかねません。それ以上に気分もよろしくないでしょう。

 Googleカレンダーを使って、「予定」と「実績」を見せ合いながら仕事をすることは、このペアプログラミングにおける、お互いのスキルと注意力を結集する効果を狙ったものと言えます。そういう意味では「ペアスケジューリング」と呼べるかもしれません。ペアプログラミングのように、同じ画面に向かって1つの文章を書く、ということはしませんが、通常であれば自分だけしか見ることのないスケジュールを見せ合うことで、次の2つの変化が生まれます。

  1. 「自分では何とかなるだろう」と思っている見通しに説明責任が生まれる
  2. 相手にとって役に立ちそうなアドバイスの余地があれば伝えることができる

 自分だけしか見ないのであれば、「わざわざ書かなくても分かっている」ことはスケジュールには書かれないでしょう。でも、その分だけ、段取りや進め方を覚えておく必要が出てきます。ご存知のように、やるべきことはすべて頭の外に書き出してしまうことで、目の前の仕事に集中できるようになりますから、スケジュールを公開することで、これを促すことができるわけです。つまり、相手に対して説明責任を果たそうとするのです。

 また、不思議なことに、自分のスケジュールについては多少無理があっても「何とかなるだろう」と思えるのに、人のスケジュールというのは、自分と同じくらいの詰まり具合であっても「これ、絶対に無理だよ」などと言いたくなるものです。ということは、相手も同じように思っているはずですから、お互いに自然と現実的なスケジュールを立てるようになります。

 現実的なスケジュールを立てられれば、「がんばれば何とかなるかもしれない」という無理なスケジュールを作った時に発揮される「ストレスフルながんばり」は不要になります。その代わり、確実に終えなければならないという「ストレス少なめの適度な緊張感」が生じます。

 この「ストレス少なめの適度な緊張感」があれば、1人で仕事をしている時に陥りがちな「すべては自分のコントロール下にある」(自分の裁量に任されている)という錯覚から来る油断を、未然に防ぐことができます。

 逆に「ストレスフルながんばり」が発揮されている状況というのは、「すべては自分のコントロール下にある」と思いこんでいるために生まれるものと考えられます。現実が正しく認識できていないために、それによって生じた歪みを補正するべく、無理にがんばろうとするからです。

 今回ご紹介したペアになって仕事を進める方法「ペアスケジューリング」においては、ミーティングを効果的に行うことがポイントになります。次回はペア・ミーティングの進め方に焦点を当ててみます。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。


Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -