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» 2007年06月20日 17時53分 UPDATE

デジタルワークスタイルの視点:実名? 匿名? それとも“顕名”――ブログをペンネームで始める利点

ブログを書けって言われても、いきなり実名じゃ恥ずかしい。匿名だと気楽に始められるけど、もうちょっとコミュニケーションもしたい――。だったら、ペンネームによる“顕名”でブログを始めよう。

[徳力基彦,ITmedia]

 先日、「ビジネスパーソンが失敗しないブログの書き方――3つのポイント」という記事で、ビジネスパーソンが初めてブログを始める際には、実名ではなくペンネームで始めることをお勧めしました。

 そもそも、自分のメモや勉強のためにブログを書くというスタンスであれば、実名を明らかにしても、しなくても、それほど大きな違いはありません。ただ、いざブログを始めてみると、意外に多くの人がその“匿名性”のメリットを拡大解釈してしまい、機密情報をブログ上で漏えいしたり、他人への批判を安易に掲載してしまったりしてトラブルになってしまうケースがあるようです。実名を隠したブログでも注意したいポイントを考えてみたいと思います。

実名を隠したブログでも気を付けたい3つの注意点

  • 恥ずかしいペンネームは付けない
  • 仕事で知った秘密は書かない
  • いつか実名をばらすつもりで書く

恥ずかしいペンネームは付けない

 ブログを書き始めるときにお勧めしたいのが、ペンネームやハンドルネームを設定することです。

 ブログというツールには、コメントやトラックバックといったコミュニケーションの要素が機能として実装されています。ブログを続けていると、必ず読者からのコメントやほかのブログからのトラックバックなどを通じたコミュニケーションが発生します。その際に、そのブログのオーナーのことを呼ぶペンネームやハンドルネームがあると、より相手もコミュニケーションがとりやすくなるわけです。

 ペンネームを持っていれば、ブログ上の名前として機能します。ですから、実名のブログとほとんど変わらない感覚で、ほかのブログや読者とコミュニケーションできるのです。自分ならではのペンネームを付ければ、同じオーナーが記事を書いているというある程度の担保にもなります。本当の名前ではないという意味では実名ではないですが、完全な匿名かというとそうではありません。同一性を担保するという意味では、ペンネームという呼び名が明らかな“顕名”ブログといったほうがいいかもしれませんね。

 もちろん、ペンネームの有無に関わらず、ブログの名称をとって「○○ブログさん」と呼ばれることもあります。絶対にペンネームを付ける必要はありませんが、せっかくブログを始めるなら実名と言わずとも、何らかのペンネームをつけることがお勧めです。

 1点注意したいのは、あまりに恥ずかしいペンネームや下品なペンネームにしないこと。もしブログが継続してオフラインの集まりなどで名前を呼ばれるとき、恥ずかしい名前だと実際、困ります。それから、実名を簡単に想像させるものも避けたほうがいいでしょう。

仕事で知った秘密は書かない

 なお、ブログを運営しているときに気を付けたいのは、ペンネームでも完全な匿名でも、書いている人をある程度特定する方法が実際には存在するという点です。たとえば、ブログサービスを利用する際に登録したメールアドレスや、IPアドレスなどからある程度利用者を特定することが可能です。捜査令状など公的な要請がISPなどに届けば、ISPは必要な情報を警察などの捜査機関に提供することもあります。

 実名を明かさずにブログを書いていると、ついつい気が大きくなって、仕事上で知り得た秘密を書いてしまったり、秘密とまではいかなくとも、上司や同僚への愚痴、顧客や取引先への文句などを書いてしまいがちです。

 特定の企業を批判をした場合、その企業が警察に被害届けを出したり、訴訟に打って出る可能性がないわけではありません。そういった訴訟沙汰にならないとしても、ブログには個人の記事が蓄積されます。匿名掲示板とは異なり、ブログに企業名や個人名を書いてしまうと、ますます書いた本人を特定される可能性が高まるわけです。

 1つの記事では個人が特定できなくても、過去のアーカイブをつなげて分析することで、書き手の推定は可能です。ペンネームで書いているとはいえ、仕事で知った秘密は書かないほうがいいでしょう。

いつか実名をバラすつもりで書く

 仕事の秘密をブログに書かなかったとしても、ブログを長い期間運営していると、いつかそのブログと実名が結びつく可能性があります。誰かに自分がブログを書いていることを話したのが、いつのまにか広がることもありますし、ブログ経由で知り合った人と会うようなことがあれば、実名を明かさないでブログの運営を続けるのはさらに難しくなります。

 そういう意味では、最大のトラブル回避策は「いつか実名がバレることを前提で書く」こと。他人にバラされるよりも、もっと積極的に「いつか自分でバラす」つもりでいたほうが精神衛生上もいいでしょう。

 いつか実名をブログで公開するつもりで運営していれば、前述したような仕事の秘密を書くような行為には、自然とブレーキがかかります。最初は実名を明かさないでブログしていても、途中で実名を公開すれば、最初から実名ブログを運営しているのとそれほど状況は変わりません。つまり、現時点で「実名を明かすべきか」「実名を隠すべきか」という選択に悩んでいる方は、とりあえずペンネームでブログを運営し、あたかも実名ブログのように書いてみればいいわけです。実は筆者も、今でこそ実名や写真を公開してブログを書いていますが、ブログを始めた最初の数カ月はペンネームでブログを書いていました。

 もちろん、名前を隠してブログを運営するのは、それなりのメリットもありますから、永遠に実名を隠したままブログを運営するという選択肢もあります。実名を名乗るべきか、隠すべきかという議論は、これまでに何度も行われていますが、結局それを選択するのはあなた自身です。しかし、完全な匿名やペンネームだからといって「なんでもあり」という訳ではありませんので、ご注意を。

st_dw01.jpg まったくの匿名ということだったら、「はてな匿名ダイアリー」も面白い。サービスの通称「増田」は「Anonymous(匿名)Diary=アノニ“マスダ”イアリー」の略だ

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

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NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com


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