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» 2007年07月20日 20時39分 UPDATE

シゴトハック研究所:チーム内で方針や課題をすり合わせるには?【解決編】

チーム内のノウハウを共有していくにはツールを作るだけではなく、実行していくプロセスが重要です。そこで、「KPT」という手法を試してみましょう。

[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 チーム内で方針や課題をすり合わせるには?

 コツ:毎週3つの視点で振り返る


 チームで仕事を進める上では、各メンバーが抱えている課題を全員でシェアし、チームの課題として認識する必要があります。例えば、あるメンバーの仕事が遅れていれば、この遅れを取り戻すためにほかのメンバーが手を貸すことで、チーム全体としては遅れを発生させないようにすることができます。

 あるいは、チーム内でノウハウ共有のためのメーリングリストやWikiを開設している場合、ここに積極的に情報を投稿するメンバーがいれば、興味すら示さないメンバーもいるでしょう。割り振られた仕事だけを淡々とこなそうとするわけです。

 このようにチームで仕事をする上では、メンバー同士、自分とは異なる取り組み姿勢や価値観を認めたうえで、これを乗り越えていく必要があるといえます。端的にいえば、メンバーごとに突出した部分を見つけ、これを引き出し、チームにフィードバックするのです。先のノウハウ共有の例でいえば、誰かが思いついたアイデアをチーム全員に周知し、異なる価値観をもってこれを洗練させ、チームのノウハウとして高めていきます。

 こういったことをチームで実践する方法の1つとして、今回は「KPT」という手法をご紹介します。

週に1度、チーム内のKeep、Problem、Tryを棚卸する

 「KPT」とは、「Keep、Problem、Try」のそれぞれの頭文字を取ったものです。それぞれの意味は次の通りです。

  1. Keep(今後も続けたいアイデア、手法、習慣;よかったこと)
  2. Problem(改善すべき手法、課題に感じていること;よくなかったこと)
  3. Try(KeepとProblemをベースに次週以降に取り組みたいこと)

 週末のチームミーティングで、1週間の仕事を振り返り、この3つの視点で分類するようにします。例えば、次のようなイメージです(ホワイトボードなど、全員に見えるところに書き出していきます)。

Keep Try
・郵便番号から住所を取得する共通プログラムを作った → ほかにも共通化できる機能はない?
・プレゼン資料を早く作る方法を考えた
・いつもより30分早い電車で来てみた
Problem
・今週中に終える予定だったフェーズCのテストが未完 → フェーズCのテストにリソースを集中させる
・フェーズDの機能確定がペンディングに

 この表の例は、以下のようなやり取りを通して埋まっていきます。

  • 「Keep:郵便番号から住所を取得する共通プログラムを作ったので、これを使えば生産効率が上がると思います」
  • 「Try:ほかにも共通化できる機能はないだろうか? 次週はそれを意識して取り組むようにしよう」
  • 「Problem:すいません、今週中に終える予定だったフェーズCのテストが未完です」
  • 「Problem:フェーズCのテストが終わらないとフェーズDの機能も確定できないなー」
  • 「Try:仕掛かっている作業を止めて、フェーズCのテストにリソースを集中させよう」
  • 「Keep:プレゼン資料を作る際に、こういう方法でやってみたらいつもより早く作れました」
  • 「Keep:いつもより30分早い電車で来るようにしたら通勤が快適になりました」

 端的にいえば、Keepは「よかったこと」、Problemは「よくなかったこと」です。よかったことを継続するために、あるいはよくなかったことを繰り返さないようにするために、Tryとしてチームの行動目標を明確にするわけです。

フラットなコミュニケーションを心がける

 KPTを行う上でのポイントは、フラットなコミュニケーションにあります。リーダーであろうとメンバーであろうと、その週に行ったことや感じたことをKeepかProblemのいずれかの枠に書き込み、全員で評価したり、次週以降にどのようにつなげるのかを自由に言い合ったりします。

 こうして、1週間の間にメンバーが経験したKeepとProblemを週末のミーティングで棚卸することによって、チームの状況が把握できるのに加えて、お互いに不足を補ったり、アドバイスしたりすることもできるはずです。そして、最終的にTryとして次週の行動目標が確定していきます。当然、この行動目標は、チーム全員で出した材料を元にしたものになります。リーダーが一方的に押しつけたものではないために、「自分たちで決めた」という感覚が強くなり、チームで仕事をしているという意識が向上するでしょう。

 チームには温度差がつきものですが、その温度差を全員でシェアし、そこに改善の必要性が感じられれば(Problem)、具体的な行動目標(Try)に落とし込むことで、解消に向かうはずです。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。


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