連載
» 2007年11月22日 01時15分 UPDATE

イノベーションの現場から:DeNAが語るイノベーションの“DNA” (1/2)

イノベーションを巻き起こしている企業へのインタビューを基に、“イノベーションを起こしやすい環境とは何なのか?”を探る連載、「イノベーションの現場から」がスタートしました。第1回は、「モバゲータウン」で注目を集めるディー・エヌ・エー(DeNA)にフォーカスを当てます。

[小野和俊,ITmedia]

 モバゲータウンで携帯業界に旋風を巻き起こしたディー・エヌ・エー(DeNA)。モバイル向けオークションをはじめ、新しい市場を作り上げ、非連続性のあるイノベーションを達成してきた企業だ。

 今回はDeNAを率いる南場智子社長に、現在イノベーティブ社会基盤フォーラム(ISIF)で準備を進めているイノベーション・テストの各項目に沿ってお話を伺った。

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イノベーションとは?

 新しい発明や、これまでとは異なるビジネスモデルの構築によって、“非連続性”を伴い産業構造に変化をもたらす変革のこと。詳細はイノベーションについてのディスカッション参照。


でき上がった秩序を壊す

イノベーションテスト(日本語版)

1:仕事の成果が革新的であることが評価基準となっているか?


 「革新的かどうかは特に意識していない」

 イノベーション・テストの1番目の設問、「仕事の成果が革新的であることが評価基準となっているか?」に対する南場社長の回答は、意外なものだった。

 これまでISIFでインタビューしてきた会社のほとんどは、革新的であることを評価することを前提とした上で、それをいかに生み出していくかということを課題として考えていた。

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 しかしDeNAは違った。「革新的とはそもそもどういうことで、誰が評価するのか?」。そう指摘する南場社長。DeNAはでき上がった秩序を壊すことを積極的にやっていく会社なのだと話す。

 例えば大黒柱となる人間を、敢えてチームから外す。するとチームのメンバーから猛反発が起きる。大黒柱が抜けたチームは、混乱する。当然、事業にも影響が出る。しかししばらくすると、優秀でカリスマでナンバーワンだった人がいなくなったチームのメンバーが、動き始める。

 頼れる人がいなくなる。1人1人の責任がより重要なものになる。リーダーに任せていた人が発言し始める。チーム全体でのゼロベースでの取り組みが始まる。

 引き抜かれた人も、慣れない新しいチームの中でもがく。南場社長は、「そういう風にしていかないと、優秀な役員が育たないから」とニッコリ笑った。

 DeNAでは革新的かどうかを誰かが点数で評価することはしない。個人に対して革新的であることを漠然と期待するのではなく、組織として変化が起こり続けるような仕掛けを作っていくのだという。

「良質な非常識」を歓迎する

イノベーションテスト(日本語版)

2:成否よりも実行したか否かの方が評価されるか?


 企業の経営者にとって、従来のやり方と大きく異なる提案を歓迎することは、それほど簡単なことではない。常識というのは、その通りにやっていればそれなりにうまくいくからこそ常識として定着したのであり、その常識を覆すということは、物事がよりよく回り始める可能性がある一方で、かつてなかったような大きなマイナス効果をもたらす懸念もあるからだ。

ks_dena2.jpg 南場社長に話を聞いたISIFメンバーの小野和俊氏

 可能性と同時にリスクも伴う新しい提案に対して、南場社長はどのように考えるのか。例えば仮定として、開発チームに所属する社員が、今までと大きく異なる開発手法の採用を提案してきたとする。しかしその結果、3カ月後のレビューでは、開発チームの生産性が30%低下したことが分かったとする。そんな時、南場社長ならどうするのか。

 「その場合の評価は立場によって異なる」と南場社長は言う。例えば事業部長であれば、事業の成果がそのまま成績表になる。新しいチャレンジをしようがしまいが、結果がすべて。一方で、新人であればもし新しいことに取り組んで失敗しても、チャレンジに対する評価を行う。30% 生産性が下がったのであれば、それは大罪だということはきちんと伝える。あなたの何人分の給料なのかというくらいのことも話す。ただ、注意する場合にも「前科者だねー」という風に、あくまでも明るく。減点主義は絶対にしない。「イノベーションは明るくないとね」という南場社長の言葉が印象的だった。

DeNAにおける「振り返り」

イノベーションテスト(日本語版)

3:仕事のやり方を定期的に評価し、見直しているか?

4:過去の成功や失敗が参照可能な状態で蓄積されているか?


 「良質な非常識」を歓迎するDeNAでも、「良質な非常識」が社内に根付いてDeNAの中での常識となったときに、社員が能動的に「振り返り」を行うような工夫はなされているのだろうか。

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