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» 2008年01月11日 21時13分 UPDATE

シゴトハック研究所:続く習慣を作るには?(1)【解決編】

良い習慣を身につけられるような“流れ”を作ろうと意気込んでいませんか? 必要なのは、新しい流れを作るのではなく、これまでの流れを変えるアプローチです。

[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 期待を抑えて行動を変えるには?

 コツ:「流れを作る」のではなく「流れを変える」


 新年を迎え、「今年こそ○○を達成するぞ!」といった決意を胸に心機一転、仕事に取り組んでいるという方もたくさんいらっしゃるでしょう。年の変わり目のこの時期というのは、暦が改まるのはもちろん、気持ちの上でもリセットされて、白紙の状態から何かを始めたくなるものです。

  • せっかくだから今年は早起きを習慣にしよう
  • いい機会だから今年は毎朝英語の勉強をするようにしよう

 など、ゼロベースで生活習慣を見直す上で、「新年」というのは打ってつけの口実になるからです。

 そうなると、いてもたってもいられずに、何やら新しい習慣をひっさげて「これで大変身するぞ!」といった過剰な期待を抱きがちです。今までにない新たな「流れ」を生活の中に作りだそうと意気込むのです。

 でも、その「流れ」になじみがなさ過ぎると、すなわち現状からあまりにもかけ離れていると、継続は難しくなります。

 例えば、

  • 今年は毎朝5時に起きるようにしよう

 という目標を掲げたとします。最初のうちは気分も盛り上がっていますから、その勢いも手伝って実践できるかもしれません。でも、ついつい寝坊してしまう日も出てくるでしょう。そんな時には、

  • 昨日は新年会で帰宅が遅かったから仕方がないか

 といった「もっともな理由」で自分を納得させようとするでしょう。このように、

  • 目標達成の失敗 → 「もっともな理由」で自己弁護

 というプロセスを繰り返していくと、やがて自分を納得させるに足る「もっともな理由」を思いつけなくなる時がやってきます。最終的には、「自分は意志が弱いのだ」あるいは「自分は早起きができない人間なのだ」といった自己を否定するような理由しか思い当たらなくなってしまいます。こうした“行き詰まり”から逃れたいがために、人は挫折を選ぶわけです。

 では、このような挫折を防ぐには、どうすればいいでしょうか。

“慣性”とのせめぎ合い

 人は飽きる生き物ですから、どんなことであれ「新しいこと」には少なからず関心を抱きますし、実態以上に魅力的に映るものです。期待せずにはおれないのです。

 例えば、

  • 毎朝5時に起きて、自分の好きなことに時間を使えたらどんなにいいだろう

 などと思えるのは、「現状」に飽きている証拠です。実際に早起きに取り組んでみると、面倒だったたり、苦痛を伴ったりすることが分かり、「こんなに苦労をして、この程度のメリットしか得られないのでは割に合わない」という気持ちになります。

 つまり、「現状」に飽きていることはあっても、「現状」からダメージを受けているわけではないのです。この程度であれば、「新しいこと」はちょっとした“ぜいたく品”のようなものですから、なしで済ませることも十分に可能です。欲しいけれども必死になって渇望するほどではない、のです。

 このように生活の中に新たな「流れ」を作ろうとすると、それは「現状」とてんびんにかけられることになります。「現状」は今までもやってきたことですから、今後もそれを続けるのはさほど大変ではありません。むしろ、せっかくスピードに乗っているのだから、という“慣性”の力も働きますから、ますます腰が重くなります。

“伴走者”と一緒に走る

 そこで、新たな「流れ」を作るのではなく、これまでの「流れ」を変えるというアプローチで迫るようにします。「現状」に正面から立ち向かえば、てんびんにかけられて負けてしまいますので、側面から忍び寄る、すなわち「現状」を少しずつ変えていくようにするのです。

 良い例は漫画「巨人の星」に出てくる「大リーグボール養成ギプス」です。このギプスを付けることによって、投球フォームは一定の制約を受けることになります。この制約は、しかし、望ましい方向に「流れ」を変えるためのものです。

 あるいは、「しつけ箸」でも同じことがいえます。

 これらは、望ましい「流れ」に変わり切るまでの“伴走者”のようなものですが、これがあるおかげで「現状」はあらぬ方向に流されずに済むようになります。

 仕事に置き換えれば、手順書やマニュアル、あるいはチェックリストなどと首っ引きで仕事に取り組む姿勢がこれにあたります。これらは、仕事に習熟するまでの間の格好の“伴走者”になってくれますが、習熟した後も、つまり、体が覚えてしまって、参照する必要がなくなった後でも、これに沿って進めるようにすることで、次のようなメリットが得られます。

  • 手順書やマニュアルの記述を変えれば、行動も変えられる

 つまり、自分の行動をコントロールする手段が得られるのです。言うなれば「今までこうやってきたから」という“慣性”に従うのではなく、「手順書にこう書いてあるから」という“管制”に従うようになるということです。行動を変えたければ、手順書を書き換えるだけで済みます。「現状」とてんびんにかけられる心配はありません。

 この考え方は、岡田斗司夫氏の「レコーディング・ダイエット」に通じるといえます。

  • 食べたら記録する
  • 記録しないなら食べない

 という“管制”を導入することになるからです。「これくらいの量は今までも食べてきたから大丈夫だろう」という「現状」の力、すなわち“慣性”の力を無力化できるのです。

 早起きに応用するなら、「ねむログ」などを使って就寝時刻と起床時刻を正確に記録し、これをグラフ化することです。グラフが望ましいレベルで安定するようになれば、それが早起きのモチベーションになるでしょう。

筆者:大橋悦夫

1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタリハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』、近著に『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』がある。


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