インタビュー
» 2008年02月28日 10時40分 UPDATE

ひとりで作るネットサービス:“地道”こそビジネス成功への近道――「ongmap」・直鳥裕樹さん (1/2)

昔から地図が大好きだったという直鳥裕樹さん。会社経営の合間に開発した「ongmap」はまだ完成形ではなく、今後も機能を盛り込む予定だ。春にはバージョンアップも考えている直鳥さんにとってWebサービスとは、ビジネスとは――?

[田口元,ITmedia]

 ひとりで作るネットサービス第22回は、リクルートとサン・マイクロシステムズの「第三回マッシュアップアワード(Mash up Award 3rd)」で最優秀賞に輝いた「ongmap」(おんじーまっぷ)を開発した直鳥裕樹さん(なおとり・ゆうき、35歳)にお話を伺った。元同僚と興した会社を経営する傍ら、ひとりでネットサービスを作りはじめた理由とはなんだったのだろうか。

「ongmap」とは――

新聞社や出版社、公的機関などが提供する各データを統合し、位置を指定してからその周りの施設を検索できるオンライン地図サービス。

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ongmapはプログラミングへの原点回帰

 「ongmapを作ったことは、僕にとって“リハビリ”だったのです」。直鳥さんはそう話す。2000年に元同僚とITコンサルティングの会社を立ち上げ、経営陣の1人として突っ走ってきた。順調に会社も成長し、30名をかかえるようになった。ただ、だんだんとWebの技術に追いつけなくなっている……という実感が募ってきていた。

 「何をどうしたらどうなるのか、Webを見ていても分からないことが多くなってきたのです」。これではいけない――と思った。ITを生業とする以上、何が顧客に価値を生むのかを自分の手と目で見極めないといけない。原点に帰ろう。それにはプログラミングしかない。そう思い至った。

仕事の合間にこつこつプログラミング

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 直鳥さんは佐賀県出身の35歳。高校2年生のときに米国にホームステイした経験がきっかけで、大学はフロリダ州の学校に進学した。「大学は海外でもいいかなぁ……」。軽い思いつきで進路を決めたが、やはりそれなりに大変だった。当時はインターネットで情報を集めることができなかったので、福岡にあるアメリカ領事館まで通ってどんな大学があるかを調べた。

 「ガンダム世代といいますか……将来はやっぱり宇宙だろう、と思っていたのです」。スペースシャトル打ち上げ場のすぐ近くにある大学に入学した。専攻も航空宇宙工学に決めた。英語は大変だったが、字幕付きのテレビや映画を見ることで必死に勉強した。

 その後、大学院を経て帰国、IT系のコンサルティング会社に就職した。金融系のシステムや保険の比較サイトを手がけた後、元同僚と2000年の4月に独立を果たした。4人からのスタートだった。主にITコンサルティングや営業支援で会社は大きくなっていったが、気がつくと毎年の計画に「今年こそ自社サービスを立ち上げること」と書いていた。

 「やはり日々の仕事があると、なかなか新しい事業を考えられなくて……。最初は若い人たちに考えてよ、と任せていたのですが、やっぱり自分でやらなくちゃ、と思い至るようになりました」。そのころから仕事の空き時間を見つけては、ネットの技術を調べてプログラミングをするようになった。

自らの手足を使い、地道にongmap作成

 「なぜだかは分からないのですが、昔から地図が好きで。小学校のとき、地図帳ってありましたよね。それをずっと眺めていても全然飽きなくて」。2007年6月、ふとしたきっかけで直鳥さんはシリコンバレーで開催された「Where2.0」に参加した。Where2.0では位置情報とネット技術を核に、どういったビジネスが考えられるかを議論するカンファレンスである。地図好きの直鳥さんはわくわくしながら会場に向かった。

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 カンファレンスでは、当時リリースされたばかりGoogle Street Viewがどうやって作られているかなどのプレゼンが行われていた。「衝撃でした。Googleでさえ、全米で車を走らせてデータをとっているということを知りました。やはり泥臭い作業が大事なのではないかな、と考えるようになりました」

 昔から泥臭い作業を地道に続けた企業が勝つのでは、という仮説があった。黎明期のYahoo!もそうだった。コツコツとサイトの情報を集めてリンク集を作ったのが始まりだ。安売り情報をひたすら集めた「価格.com」もそうである。また、直鳥さんが注目している「gogo.gs」というガソリンの価格情報サイトもそうだ。

 「gogo.gsは小川さんという方が運営しているのですが、彼はサイトを作るためにわざわざバイクの免許を取り、都内を走り回ってデータを集めたのです。そうした努力を重ねた結果、このサイトの収入で彼は独立できるまでになっています」。こうした一見泥臭い作業こそが誰もが敬遠する領域であり、そこに成功するビジネスが潜んでいるのではないか、と直鳥さんは考えている。

 Where2.0に参加したあと、直鳥さんは地図を使って何かプログラミングをしてみよう、と思い立つ。位置情報はまだまだ未開拓の領域だと考えていた。もっと検索しやすいようにデータを整備したら何かが生まれるのではないか、という直感があった。「そのためにも自分の手を動かさないと」

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