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» 2008年05月26日 18時00分 UPDATE

アイデア創発の素振り:潜在市場の候補を大量に発見する方法

「この製品、ほかの市場へ展開したい。どの分野に市場候補があるか、ざっと調べてくれ」。そんなことを、上司はあっさり言う。マーケティングの予算も人員もないけれど、短時間で網羅的に市場候補をピックアップできないだろうか。これをかなえる方法を紹介する。

[石井力重,ITmedia]

 マーケティングに力を入れている組織でも、そうでない組織でも、市場探しの機会は多い。しかし、新しい販売先なんて、なかなか思いつかない。そんな時に、ネットを使って、お金をかけずに短時間で網羅的にピックアップする方法がある。

サービス名 人数 道具 長所
iタウンページ 個人 PC、ネット環境 潜在市場の候補リストを網羅的にピックアップできること

 「この製品、ほかの市場へ展開したい。どの分野に市場候補があるか、ざっと調べてくれ」。上司は、そんなことをあっさり言うものだ。そこで一生懸命に「こんなところに使えるかな」「こういう用途もあるかな」と考えてみる。でも、1人で網羅的に販売可能な業界名をあげることは難しい。

 知らない分野について考えてみようとしても、思いつくのはなじみの業界名ばかり。何とか頭をフル回転して、業界名を挙げてみた、でも、これですべて拾えたのか――。そんな時には、「iタウンページ」を使ってみよう。

今回のアイデア出し:お題「食肉加工品の新しい顧客業界」

st_is02.jpg iタウンページ

 それでは早速、今回のお題「食肉加工品の新しい顧客業界」をiタウンページで調べてみよう。

 サイトにアクセスしたらキーワードを入力。1つ目の入力欄に「食肉 加工」と入れる。

  • コツ1 検索結果を見ながら、キーワードを適宜分離する(食肉加工品→食肉+加工)
  • コツ2 製品キーワードとなる言葉を消費者視点で言い換える(食肉→豚肉、牛肉、鳥肉)

 続いて住所を入れる。今回は2つの入力欄に「関東」と入れた。

  • コツ3 市場候補を最も多くピックアップできるのは「関東」。キーワードによっては、「関西」や「九州」なども試すといい。
  • コツ4 販売エリアを絞ってピックアップしたい、という場合は「千葉県」や「船橋市」といったように、県や市町村レベルまで下げてみよう。

 検索結果には多い場合で1000以上の業種が表示されるはず。このリストを見ると「食肉」「加工」に関係する業界が、ざっくり分かる。

  • コツ5 出力したリストはそのまま使わない。検索結果には、自社製品との競合や、あまり関係しないノイズが含まれるからだ。リストを大量のインプットを得るつもりで眺め、「ざっくりこんな業界があるな」と自分なりにまとめる。
st_is01.jpg

st_is03.jpg 検索結果

 実際にやってみるとこんな感じだ。キーワードに「食肉 加工」、住所に「関東」といれて検索すると、ざっと1098件の検索結果(5月26日現在)。中には高級バーのようなものもある。そこでは価格の高い肉が消費されているはずだ。直接そういうバーに販売することは小口過ぎて難しいとしても、彼らはどこから肉を買っているのか。

 そうか、今度試しに飲みに行ってみよう。飲みに行ったついでに聞いてみれば「この地域では、高い肉をどこから買っているのか」を知ることもできるかもしれない。バーチャルとリアルの組み合わせ技だが、あてもなく調べるよりはずっと効率的だ。もちろん紙のタウンページと同じで、お店の詳細はリストを何回かクリックしていけば確認できる。

 ただし、検索結果のリストからむやみに営業電話をかけるのは意味がない。お店はタウンページにニーズを載せているわけではない。お客(タウンページの利用者)に届けたいキーワードを表現しているにすぎないのだ。つまり売り込みの電話をかけ続けても無駄になる可能性が高い。「その地域にそういう業界が存在していることを知る」道具として使おう。その後は、その業界の構造を調査、分析して、有望そうな業界に狙いをつけて詳しい調査を行うことが肝心だ。

3行でまとめ

  1. 商品の基本的なキーワードは分解する。消費者視点で言い換える
  2. 住所は「関東」を選ぶと、市場候補を多数ピックアップできる
  3. 出力したリストから3〜6個程度、潜在市場の大きそうなものを見つけ出す

著者紹介 石井力重(いしい・りきえ)

st_ishiirikie.gif 著者近影

 事業のアイデア創造支援や技術開発をサポートする事業化コーディネーター。仙台のベンチャー企業デュナミスが事務局を務める創造性育成ツール開発プロジェクトでは、プロジェクトリーダーを務めた。このプロジェクトで誕生した新商品が「ブレスター」である。みやぎものづくり大賞(2007)で優秀賞を受賞。社会人院生として、東北大の博士課程にも在籍、新事業創造マネジメントや創造工学を研究。Webサイトは「石井力重の活動報告」


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