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» 2008年06月05日 15時45分 UPDATE

みんなで作る地球のあした、企業発“巻き込みエコ”最前線:第2回 “裏紙問題”を考える――プリンタに使っていいの? 悪いの?

ペーパーレス化が進みつつあるが、まだまだオフィスで紙を印刷する機会は多い。エコを意識し始めた筆者がオフィスで裏紙印刷をしていたら、「プリンタが壊れるよ」と言われたが……。

[鷹木創,ITmedia]

 「裏紙を使うとプリンタが壊れるよ」――。 表側だけに印字してあるプリント用紙を見て「裏側も使えないだろうか」と思うのは、エコを意識し始めた筆者だけではあるまい。だが、裏紙を使おうと思ったら冒頭のように同僚から「プリンタが壊れるよ」と怒られたのだ。

 一般的なオフィスに導入されているレーザープリンタは、プリンタ用紙を上下から挟み込む圧着ローラーを使って、用紙に付着したインクを熱と圧力で定着する仕組みだ。裏紙にはすでにインクが定着しているわけだから、定着ローラーで同じように熱せられると裏紙のインクが溶けてしまい、ローラーにインクが付きかねない。確かに、プリンタが壊れるというのも一理ある。

 ペーパーレス化が進みつつあると言われているが、まだまだオフィスで紙を使う機会は多い。むしろ、ITが普及すればするほど、メールやWebページをプリントアウトする需要が増えている。最終校はデジタルデータで相手先に納品するとしても、社内で確認する段階では、WordやExcel、PowerPointで作成したデータをプリントアウトして回覧したりするのではないだろうか。

表側を消せば、裏にする必要なし!?

 裏紙を使わずに、かつ紙を無駄にしない。こんな問題に効果がありそうなのは、東芝が開発した“消せる”トナー「e-blue」。印刷した文字を消してしまい、もう一度表面に印刷すればいい――という逆転の発想で生まれたe-blueは、熱を加えることで、色素と発色剤の結びつきを断ち切り、文字を消せるトナーだ。洞爺湖サミットの事務局も採用した。

 ビジネスプリンタを開発する東芝テックによると、e-blueを使うと1枚のプリンタ用紙を5回ほど繰り返し利用できるという。東芝をはじめ、すでに導入した企業もあり、東芝ではOA用紙を約60%、CO2を約50%削減したとしている。

st_bt01.jpg e-blueで印刷した紙を消したイメージ
st_paper.jpgst_eraser.jpg (左)e-blueで4回繰り返し利用をした紙。うっすらと文字が残っているのが分かる (右)印刷を消すための専用装置。消去作業に2時間、冷却作業に1時間かかる

 ただし難点もある。印刷を消すために専用の装置が必要なこと、消去作業に2時間、冷却作業に1時間とリユースするまでに3時間かかること、インク色が青色なこと――などだ。

 インクが青色なのは、通常のトナーで印刷した紙と見分けを付けるためだが、いわゆる湿式コピー(青焼き)のようで、ちょっと独特な感じがする。また、消えるといっても完全に元通りというわけではなく、うっすらと文字が残る。目を凝らして読もうと思えばなんとか読める感じだ。紙資源の節約という意味では効果があるかもしれないが、「社内でドラフトの文書を回覧する時などに利用する」(東芝テック)しかなさそうである。

 そもそも「2時間も熱すること自体がエコに反するのでは」とも思う。「確かにそれほど印刷しない小規模なオフィスではかえって電力を消費してしまうかもしれない」(東芝テック)。基本的には月間1万枚以上プリントアウトするような大規模な企業で効果があるという。

裏紙が使えるプリンタとは――

 一瞬いいかもと思ったe-blueだったが、使用条件が結構厳しい。やはり、裏紙が使えるプリンタを探したほうが良さそうだ。

 ふと思ったのは、両面印刷に対応した機種(両面機)の場合。表面に印字した後、裏面に印字する両面印刷の場合、裏面に印字する工程はまさに裏紙と同じ。すでに印刷している面を裏にして印字するからだ。キヤノンやリコーなどのプリンタメーカーでは「両面機の場合は」と限定した上で、「裏紙を使っても問題ない」という。

 ただ、「両面機でも裏紙は使わないで」(ブラザー)というメーカーもある。というのも、使用中のプリンタと違うメーカーの製品で印字した裏紙だ。インクが溶ける温度は各社で異なるため、異なるメーカーのプリンタで印字した裏紙を使用すると、インクがローラーについてしまうこともある。また、古くなった裏紙も要注意だ。張りがなくなった紙は紙詰まりの原因にもなりかねない。それに一度使った紙は微妙に反っていたり折れていたりすることも多くて、こちらも故障の原因になることもある。

 一方、両面印刷に対応していない機種(片面機)は、「場合による」(リコー)という。例えば、リコーでは以前発売していた片面機(imagio Neo C455itなど)に「裏面モード」を搭載。印刷面裏側の定着ローラーの温度を下げることで、裏紙を使ってもプリンタへのダメージを防ぐという。

 ただし、リコーの現行機種や、ほかのメーカーでは裏面モードのような機能を搭載しない機種が多い。印刷面から熱し、裏面は圧するだけのオンデマンド圧着方式を採用し、片面機で裏紙印刷しても悪影響が少ないように思えるキヤノンでも「両面機と片面機ではプリンタ用紙を上下から挟み込むローラーのバランスが異なる」という。場合によっては、インクやコピー用紙のカスがローラーに付着してしまう懸念もあり、片面機で裏紙を使うのはメーカーの保証外――というわけだ。

 まとめると、最低限の原則として「両面機を使う」ほうが良さそうだ。しかも、メーカーの異なるプリンタで印刷した裏紙は使わないほうがいいし、一度使った紙や古くなった紙の場合は紙詰まりの問題もある。いやはや、裏紙を使うのは思いのほか大変だ……。


 プリンタ各社から言われたのは、「両面印刷」や複数のページを1枚の用紙に割り当てる「Nアップ印刷」を利用すること。当たり前の話だが、そもそもプリントアウトする枚数を減らす――のが肝心なのである。

st_uragami01.jpg Nアップ印刷

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