都内の営業で顧客への訪問回数を3倍にする“禁じ手”樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

少しでも多くの顧客を頻繁に訪問し続けることができれば、一般的に営業成績は向上する。だが、顧客1人1人としっかり話をしているとなかなかそうも行かない。そこで筆者が考えたのは――。

» 2008年07月17日 11時00分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 筆者はバイクが大好きだ。バイクは都会の馬だと思っている――。

少しでも多くの顧客を訪問したい……

 営業職として最も大切なことが信頼であるとしたら、その信頼を築くための効果的な手段は顧客と頻繁に会うこと。1人の顧客と会うだけで仕事が済むなら幸いだが、通常は多くの顧客と何度も会うことが必要だ。良い顧客とたくさん、効率よく会うことが営業成績を向上させるコツではないだろうか。

 少しでも多くの顧客を頻繁に訪問し続けることができれば、営業成績は一般的に向上していく。しかし、1カ所であっても顧客との面談は、結構神経をすり減らすもの。次の顧客へ向かうのは、かなりきついことが多い。

 本当は「もう1社、もう1カ所」と、たくさん回るのが理想的ではある。筆者の場合、社内の会議は必要最低限にとどめて、先頭に立って顧客を回るのが信念だったし、少しでも多くの顧客を訪問する必要があった。

 わが営業部は都内が主戦場。営業部員たちを8グループに分け、さらに1グループを3チームに分けて体制を整えた。だが、都内というエリアは限られているものの、スケジュールの都合や電車での乗り換え時間などを考えると、午前と午後にそれぞれ1カ所、あるいは1日に最大3カ所回るのが精一杯だった。

1日8カ所、きちんと打ち合わせ

 筆者はそこで“禁じ手”を導入した。それは筆者がスクーターを使うことだった。すでに数年前から通勤にはスクーターを使っていたが、仕事では会社の許可が下りず、こっそりと使い始めた。

 会社の近くの顧客には、5分もあれば到着できるし、JR山手線の内側ならば、ほぼ20分から30分ほどで到着できた。最重要の大型顧客には、筆者自身が1人で訪問していたが、その後に営業担当者と次の顧客に会う場合も、「何分以内に到着できるよ」と携帯電話で伝えたものだ。

 丸の内から西新宿の高層ビル群まで25分。電車や地下鉄よりちょっと時間がかかるように思えるが、電車を降りた後の移動時間まで考えるとだいぶ短い。ひどい時は往復で1時間違ってくる。

 午前中は東京から品川、午後は赤坂から半蔵門、夕方には新宿や池袋を回って、最高で8カ所の顧客を訪問し、きちんと打ち合わせできた。スクーターがなければ実行不可能だったはずだ。週に3日か4日はこうやって巡回していれば、1週間の顧客訪問数は部内でダントツに多くなるのは当然だった。

バイク用エアバッグ「エッグパーカー」を着ていた

 技術的なトラブルなど重要な顧客からのクレームには、間髪入れずスクーターに飛び乗った。謝りに来るのがあまりに早いので、顧客が仰天していたこともあったほどだ。スクーターでうれしかったのは、昼食に有名なB級グルメのレストランで食事できたことである。

 ただ、スクーターは安全運転に徹していても、やはり車よりも危ない。筆者はバイク用エアバッグ「エッグパーカー」(当時。無限電光製で、現在は「ヒットエアー」という商品名で販売)を装着していた。それに、会社が正式に許可していないスクーターは、あくまで筆者の自己責任での運用だった。

 会社の仕事で、正式にバイクを活用する場合、現在はサービス部門などに限定されていることが多いが、安全運転の教習を徹底するなりして、バイクの活用を図ることは可能ではないかと思っている。だから経営者の皆さん、ぜひ検討を!

今回の教訓

ガソリン急騰の折、バイク活用はコスト削減になるかも――。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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