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» 2008年09月02日 19時02分 UPDATE

Googleが“池袋駅にだけ”広告展開している理由

「高田馬場へ行くより早くアンドロメダ星雲へ行く」「西武池袋線の発車メロディーをピアノで聴く」――こんなキャッチフレーズのポスターを、池袋駅構内で見かけた。グーグルのキャンペーンの一環なのだが、なぜ池袋なのだろう――。

[杉本吏,ITmedia]

 「高田馬場へ行くより早くアンドロメダ星雲へ行く」「西武池袋線の発車メロディーをピアノで聴く」――こんな変わったキャッチフレーズのポスターを、池袋駅構内で見かけた。これはグーグルが展開している「Googleで、できること。」キャンペーンの一環として、8月25日から東武東上線、西武池袋線の改札付近に設置しているものだ。なぜ、池袋なのだろうか。

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駅構内や鉄道社内への広告展開を進めるグーグル

 このキャンペーンは、グーグルが行ったユーザー調査を受けてのもの。調査結果によると、ユーザーのGoogleへのイメージは「何でも答えてくれるロボット」「白衣を着ている頭のいい人」――だったという。しかし、そうした好意的なイメージの一方で、「画像検索を知らない、Google Skyを知らない、使い方が分からない、そういったユーザーもまだまだいる」(マーケティングを担当する馬場康次氏)。

 「Googleで、できること。」は、そのようなユーザーに向けて、グーグルの運営している20のサービスを広めていくためのキャンペーンだ。特設サイトでは、1分間ほどの短い動画で、1つ1つのサービス内容を解説している。

 PCと携帯電話向けの特設サイトに加え、同時展開していくのが屋外広告だ。グーグルは以前にも、駅構内や鉄道車内でGoogle News日本語版の広告キャンペーンを行っており、5月には首都圏の駅構内にYouTubeモバイルのポスターを設置している。今回のキャンペーンポスターは、モバイルサービスを中心にしてユーザーに訴求していく考えだ。今後は首都圏の主要な駅にも順次展開していく予定だが、現在は池袋駅にのみポスターを設置している。

ts_5.jpg 柱に張られたポスターのほか、ホームの壁を覆う超大型ポスターもあった

 日本から米国のWebサイトにアクセスすることに障壁がないように、そもそもインターネットとは、地理的な制約を受けないことが特徴のメディアだ。Webにアクセスできる環境さえあれば、いつでもどこからでも利用できるサービスを提供するグーグルが、あえて池袋駅構内というエリアに絞って広告展開をする狙いはどこにあるのだろうか。

 馬場氏によれば、屋外広告第1弾のロケーションとして池袋を選んだのは、学校などが多く若年層の目に触れやすいという理由が第一。加えて、「はっきりとした理由は分からないが、池袋駅を利用する人は、新宿や渋谷などほかの駅を利用する人に比べて、Googleモバイルの利用率が低い傾向があるというデータも存在した」という。

エリア別広告は「ユーザーにとってもうれしい」?

 東西に繁華街が広がり、サンシャインシティを中心に水族館や映画館、飲食店などがひしめく池袋駅周辺。1日の平均乗降客数が270万人を超える池袋駅には、JR東日本、東武鉄道、西武鉄道、東京メトロの4鉄道8路線が走っている。近年は、女性を対象としたアニメグッズや同人誌、フィギュアなどを取り扱う店舗が集中する「乙女ロード」など、いわゆる“腐女子”御用達の街としても知られるようになった。

 馬場氏は、グーグルが広告展開する際のポリシーを「見た人にとって価値のある広告を届けるということ」と説明する。池袋駅に張られたポスターは「東武百貨店に入っているケーキ屋さん、ケーニヒなんだっけ? あいまいでも検索できる。」というGoogleサジェストの広告や、「池袋西口からラーメンえるびすまで迷わないよう家を出る前に歩いておく」というGoogleストリートビューの広告など、池袋に関連する内容が数多く盛り込まれている。

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 「ケータイでもGmail。」「ケータイでもPicasa。」など、各サービスをモバイルで利用できることを前面に押し出している点もポイントだ。歩きながら見ることが多くなる屋外広告では、見かけたその場でサービスが利用できると、興味を持ったユーザーにとってもうれしい。「家に帰ってからPCで試してみよう」なんて考えているうちに、広告の内容を忘れてしまうのだ。逆にいえば、モバイル向けWebサービスを訴求したい場合には、あえてエリアを制限した屋外広告を出すことが効果的、と言えるのかもしれない。

Google以外のポータルサイトでは――

 こうしたエリア限定の広告を、グーグル以外のポータルサイトはどうとらえているのだろうか。Googleモバイルと同様の携帯電話向けポータルサイトを運営するYahoo!JAPANやMSNでは、「エリア別のユーザーデータは特に取得していない」(広報担当者)と口をそろえる。大手SNSサイトのミクシィも、「都道府県別で見ると東京のユーザーが最も多いが、都内のエリア別データなどに関しては取得していない」。

 会員数が1000万人を超える携帯電話向けゲーム&SNSサイト、モバゲータウンを運営するディー・エヌ・エーでも、「エリア別の広告などは出していない」とのことだった。ただし、エリア別のユーザーデータに関しては、モバゲータウン内の地図上にユーザーが仮想の家を建てる「タウン機能」によって、ある程度は把握できるという。400万人以上が利用するタウン機能では、自分の好きな場所に家を建てることができるが、「ユーザーは実際に自分が生活している住所に仮想の家を建てることが多い」(ディー・エヌ・エー)からだ。

 このタウン情報で見ると、人口が最も多い都道府県は東京都で、36万7353人。都内では池袋駅周辺に家を建てている人数が756人で、新宿駅周辺は403人、渋谷駅周辺は592人となっている。このように副都心と呼ばれるエリアの中で比べると、池袋駅周辺のモバゲーユーザーが多かった。もしモバゲーが屋外広告を出すなら新宿あたりかもしれないが、これはあくまでも各駅周辺に住んでいるらしき人の数であり、その場でモバゲータウンを利用しているかどうかという問題とは単純に直結できないところが難しい。


 「将来的な屋外広告戦略としては、ポスターだけでなくイベントのようなこともできないだろうか、と考えている」(馬場氏)。今後の展開がどうなるかは、池袋駅に設置したポスターの効果次第というわけだ。モバイル向けWebサービスの広告戦略における“エリア別”という考え方に、ユーザーは果たしてどんな回答を出すのか――今後のグーグルの動向に注目していれば、おのずと答えも見えてくるかもしれない。

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