アイデアを毎日書かせる方眼のリズム2009手帳マッピング(1/2 ページ)

人にはアイデアFullな日もあればアイデアLessな日もある。だがビジネスパーソンたるもの、疾風怒涛、どんな日も生き延びなければならない。自分からアイデアの風を起こせず泣きたいときは、ガイドFullな手帳に頼りたい。

» 2008年09月10日 14時51分 公開
[郷好文,ITmedia]

 2009年版手帳を用途に応じてマッピングしようという今回の短期連載。第1回は「(アイデアを書かせる)ガイドがあるかないか」「ひとりかみんなか(情報を共有するかどうか)」という2つの軸でアイデア手帳を整理した。第2回はガイドの視点からアイデアと手帳の関係に切りこむ。

アイデアFullの日もあれば、アイデアLessの日もある

 朝、1日の初めに手帳を手にするとき、アイデアが出そうな日か出ない日か直感が働く。

 通勤電車に乗り、胸ポケットから手帳を出して開く。手帳体操が始まるのだ。思いつきを書き留める。ポケットにしまう。また取り出す。反復運動からアイデアや原稿が生まれる。仕事のこと原稿のこと、アイデアが出る日は手帳の白いページが自動筆記のごとく文字や絵でどんどん埋まっていく。

 出ない日は、手帳を開いてもぼんやりして何も書けない。やがて発想のギアをチェンジするため、キョロキョロする。電車の中吊り広告を眺め、乗客の声に耳を澄ます。目だけでなく頭の中もキョロキョロする。今朝のニュース(つまり「めざましテレビ」の「MOTTOいまドキ!」)の話題を思い出す。そのうちにポンとひらめいて、手帳に書き込むわけだ。

 いずれにせよ、手帳は発想のバロメーター。発想リズムのリードを手帳に求めたいときがある。

ウンチク満載のほぼ日手帳2009

 そんな発想を力強くリードしてくれるのが、ガイドFullな手帳。その代表格『ほぼ日手帳』である。2009年版はデザイナーに佐藤卓さんを起用して全面的な改訂を行った。発想のガイドにすみずみまでこだわった手帳だ。

 「心臓をいじるようにドキドキした」と佐藤さんは言う。銀座・アップルストアで8月19日、ほぼ日手帳の2009年版の発表会で糸井重里さんとのトークセッションでのこと。「4ミリって、ほんの少し大きすぎるんですよ」

 4ミリとは、毎年20万部以上売るほぼ日手帳の“心臓部”で、手帳の大半を占めるデイリーページの方眼の間隔だ。伝統の4ミリマス目とは「毎日のことを書こう」というこの手帳の中核のデザインであり、存在理由でもある。それをいじるのはファンの期待を裏切ることにならないか。だが、20万部の責任よりも、ファンからの目線にドキドキした。ドキドキしつつも“外科手術”を施したのである。

 3.0、3.2、3.5、3.75ミリなどいくつものパターンの試作。1ミリ以下の微細なチューニングに膨大な時間を費やした。マスのサイズを変えることは書き心地だけの問題ではなく、ページ内のほかの要素(ToDoリスト、時刻表示、ほぼ日の迷言と名言)とのバランスにも影響がでてくる。おさまりが良くて書きやすいマス目サイズを求めて、最後は「3.45ミリ」に落ち着いた。従来からマイナス0.55ミリのチューニングだ。

 佐藤さんがさらに「キモチ悪かった」のは“方眼のクロスポイント”。破線が“十”字になっていないのに気づいたのだ。方眼の間隔を調整してすべてのクロスが十字になるようにした。

方眼のクロスが十字でキモチ良くなりましたか?

 「手帳はプラットフォーム、ノイズは小さい方がいい」(佐藤さん)。デイリーページだけではなく、日曜始まりか月曜始まりかで選べるマンスリーページも用意。付属の定規にも、マス目の罫線をわざと外して平行間隔をとりやすくするなどの工夫をした。ガイドFullな要素が隅から隅までずず〜いと行き渡っている。

2008年版だけど……ポケット・アイデアマラソン手帳

方眼に注目

 ガイドFullな手帳といえば、技術評論社『ポケット・アイデアマラソン手帳』も忘れられない。コンセプトは「1年で1000件の発想を書こう」である。

 特徴は「とにかく発想を書き留めよう」。発想とは夢であり計画であり、仕事の工夫や段取り、日常生活の工夫、気づきや発見、企画や創作活動、さらに駄洒落や日々の決意である。そのアイデアを書き留めるスペースには罫線がある。こっちはひとマス2.25ミリ方眼。

 この方眼スペース(33.75ミリ×27.00ミリ)に、1日2件、1週間で14件、1カ月で60件、1年で730件……とアイデアを書き貯めてゆく。後ろの追加記入ページを使えば、1日3件以上も可能だ。こうして1年1000件。各ページにある格言とアイデアのヒントは、ほぼ日手帳と同じで発想転換やヒマつぶしにうってつけ。

 ただ残念ながら、このポケット・アイデアマラソン手帳、2009年版は出版の予定がないのである。もし書店で見つけることがあったら購入してみるのも悪くない。アイデアを書き込むだけなら日付はあまり関係ないのだから――。


       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ