読んだだけで満足してませんか? ビジネスの成果につながる読書術3分で読める! 隣のヤツより成果を出す勉強術(3/4 ページ)

» 2008年11月10日 11時56分 公開
[水野浩志,ITmedia]

私の読書、その失敗例

 こんな偉そうなことを言っていますが、実は私も、昔は読書を勘違いしていました。

 読書好きだったので結構本を読んでいたのですが、読んでは理解し、そこでおしまい。実践も行動もあまりなく、もっぱら身近な人に知識をひけらかすことと、他人との知識競争で負けないようにするためのものでした。

 当然ながら、学びを実践しない訳ですから、成果を出すこともできません。また、本から得た情報を知識としてしか憶えていないので、上辺だけの理解にとどまっている上に、時が経つと忘れてしまい、断片的で使えない情報ばかり残っていました。しかし、自分は勝手に「俺はこれだけの本を読み、理解したんだ」と勘違いしているので、本当に始末に負えない状態でした。

 しかし、成果が出せない状態を自覚せざるを得ない決定的な事件が起こりました。2000年に独立して、最初の事業に失敗したときのことです。

 当時私はそれまで勤めていた会計事務所を辞め、友人2人に声をかけて、新しい会社を設立しました。当時の私は、独立するに当たって十分な知識を身につけていたと思っていました。会計事務所勤めで財務・経理の経験もあり、MBA関連の書籍も読んで経営全般の知識もひと通り身につけ、さらにはコーチング心理学の勉強もしていたので、良好な人間関係も築く自信もありました。

 そんな私が新会社の代表となり、「これで盤石な体制。失敗なんか、万が一にもするはずがない」と思っていました。しかし、これが大きな間違いだったのです。

 事業を開始してすぐ、メンバーとの関係性が悪くなりました。私がにわか仕込みの知識を振り回して、自分の主張を押し通そうとしたのですが、そんな私の意向をメンバーが受け入れてくれるはずもなく、何度も何度も衝突しました。その結果、当初立てた事業計画も予定通りに進まず、最初に用意した資金もあっという間に底をつきました。

 それに合わせてメンバーの2人も去り、1人残された私に事業を継続する力はありませんでした。お金を失い、借金まで作り、さらには友人だった2人との人間関係を壊してしまった状態で、1年半でその事業から撤退することになってしまいました。

 たくさんの本を読み、十分知識を仕入れたつもりだったのに、結果的にはなんの役にも立たなかった。上辺だけの知識で自分の力を過信した人間の典型的な末路を、私はたどってしまったのです。

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